世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


9月 14, 2020

2019年度 官公庁大学コンピュータ関連調達首位ベンダーは?

HPCwire Japan

2019年度に開札された案件の内、HPCwire Japanがコンピュータ関連案件(学務システム、図書館システムなどは除く)として取り上げた案件数は97件あり、全体での金額は約500億円であった。金額は消費税込みの金額で、いわゆるレンタル(借入)のものは月額金額に借入予定期間を乗じたものを金額とした。

97件中69件が借入案件で合計金額は46,421百万円で案件のほとんどを占めている。購入案件は23件で金額は2,175百万円。残り6件は随意契約であった。

ベンダー

件数

契約金額(百万円)

富士通

19

18,654

日本電気

11

9,076

HPE

3

7,490

IBM

1

3,271

日立製作所

11

2,691

NTT

6

1,240

その他

46

7,237

合   計

97

49,660

ベンダー別落札件数と金額

 

2019年度の契約高、契約件数とも首位になったのは富士通で、契約件数が19件、契約金額で約180億円と件数で19%、金額ベースで全体の38%を占めた。2位は契約金額で富士通の約半分の90億円で11件を獲得した日本電気、3位は契約件数は3件だけだが、契約金額で75億円を獲得したヒューレット・パッカード・エンタープライズ社だ。その後、IBM、日立、NTTが続いた。

その他は46件で約72億円ある。これらはほぼ代理店販売で、想像するにDELLやHPEなどが販売されていると推測されるが公開情報だけでは不明である。

契約金額が最も高かったのは富士通が落札した宇宙航空研究開発機構のスーパーコンピュータシステムで60カ月のレンタル料合計が6,172,000,000円であった。2位はヒューレット・パッカード・エンタープライズが落札した日本原子力研究開発機構のスーパーコンピュータで5,702,400,000円、3位は名古屋大学の「不老」で4,689,432,000円であった。

機関名

調達方式

契約金額

落札者

宇宙航空研究開発機構

スーパーコンピュータシステム

\6,172,000,000

富士通

日本原子力研究開発機構

スーパーコンピュータシステム

\5,702,400,000

HPE

名古屋大学情報基盤センター

スーパーコンピュータシステム

\4,689,432,000

富士通

核融合科学研究所

プラズマシミュレータ

\3,888,000,000

日本電気

高エネルギー加速器研究機構

KEK中央計算機システム

\3,270,960,000

IBM

契約金額トップ5

日本における官公庁大学の2019年度案件については富士通が首位となったが世界ではまだまだ少額だ。以下に2019年における世界でのHPCのベンダー別売り上げを示す。富士通は世界全体では8位で売上は約310億円、日本電気は10位で約230億円の売上であった。両社とも年間売上の約半分を国内の官公庁大学案件で獲得していると考えられ、国内の同種案件の重要性が高いことが分かる。

2018年2019年のHPCの世界売上(Hyperion社調べ)

 

以上、2019年度の国内官公庁大学案件の結果であった。