GPU市場、第2四半期に予想外の利益を計上
George Leopold

活況を呈しているグラフィックスプロセッサ市場は、パンデミックの不確実性とは無縁ではなく、「季節性」のような予測指標がますます問題になってきている。
たとえば、GPU市場のアナリストであるJon Peddieによると、第2四半期のグラフィックボードの出荷台数は前四半期比6.6%増となり、前年同期比36.7%増となった。通常の年であれば、第3四半期に新学期のデスクトップとタブレットの販売が増加することにより、このような利益が見られるものだろう。
市場のリーダーであるNvidiaが再び主な受益者となり、グラフィックスアドインボード市場でのシェアを前四半期に比べて9ポイント上昇させ、圧倒的な78%とした。
Nvidiaの市場拡大によって、148億ドルのGPUボード部門のもう1つの主要サプライヤーであるAMDが犠牲となった。AMDの市場シェアは22%にまで低下し、昨年の同時期に比べて10ポイント下落したとPeddieは報じている。
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出典:Jon Peddie Research |
待ち構えているのは、今年後半にディスクリートGPU市場に参入すると予想されるIntelである。昨年、チップメーカーが10ナノメートルノードと7ナノメートルノードでの重大な製造上での問題を認める前に、Intelは、最初の7-nmデバイスが、データセンターとHPCアプリケーションをターゲットとしたGPUになると発表していた。
このチップは、来年に予定されていた米国エネルギー省のスーパーコンピュータ「Aurora」のグラフィックスエンジンの心臓部として機能することになる。だが、Intelのプロセス技術の遅れが、HPCの立ち上げを遅らせている。
ディスクリートGPUは、デスクトップからサーバーに至るまであらゆるものに使用されている。ディスクリートグラフィックプロセッサを使用したアドインボードは、大量の高速メモリと相互接続を必要とすることが多いため、ボード市場のハイエンドと考えられている。
四半期の需要が予想外に増加したことは喜ばしいことだが、Peddieや他の業界のトラッカーは、第2四半期の増加が第3四半期の減少を予兆しているのではないかと懸念している。
「投資家は、第2四半期の[GPUボード]の出荷が季節外れに増加しているのは、通常であれば第3四半期に販売されるであろう売上の引き込みによるものであり、従来の第3四半期の売上を共食いすることになるのではないかと懸念している」とPeddieはリサーチノートで述べている。
それでもAMDとNvidiaはそれぞれ第3四半期の「堅調な」需要を予測しており、「消費者心理は彼らの期待を裏付けるように改善しています」とPeddieは付け加えた。
一方、AMDとNvidiaからは新しいグラフィックボードの登場が予想されており、アナリストはIntelが四半期末までにグラフィックスボード市場に参入する可能性があると予測している。
消費者心理の揺らぎ、不確実な企業需要、季節外れの季節性などが相まって、GPUの予測はより困難になっている。それでも、グラフィックスボード部門は2023年までに167億ドルに達すると予測されている、とPeddieは語っている。