世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


10月 13, 2020

理化学研究所 石川裕氏、富岳開発について語る

HPCwire Japan

リーダーシップクラスのスパコンの開発は、一朝一夕にできるものではないし、1年でできるものでもなく、数年の歳月をかけて行われるものである。理化学研究所が運営する「フラッグシップ2020プロジェクト」では2014年から、記録を達成したArmベースの理化学研究所・富士通の「富岳」システムの開発がスタートした。フラッグシップ2020プロジェクトのディレクターとして、石川裕氏が「富岳」(旧称「ポスト京」)の開発を先駆的に進めた。

2020年6月、「富岳」は415.5 Linpackペタフロップスの性能でTop500の新記録を樹立し、世界No.1スパコンとなった。富岳は他の多くのHPCベンチマークをも席巻し、世界で最もエネルギー効率の高いスパコンの一つとなっている(Green500のトップ10に入っている)。

HPCwireのTiffany Traderとのインタビューでは、石川氏が富岳の起源と、プロジェクトの目標とそれがどのように達成されたかを説明し、ターゲット・アプリケーションで「京」コンピュータの最大100倍の速度を目標とするバランス型スーパーコンピューティングシステムにつながっているを述べている。富岳は、COVID-19との戦いを支援するために、1年早い2020年6月にサービスを開始した。

富岳が4大HPCベンチマーク(2020年)で1位を獲得
 

「私たちの目標は、ベンチマークで1位になることではありませんでした。私たちの目標は、世界最高水準のスーパーコンピューティング環境を幅広い分野のアプリケーションに提供することです。そのために、アプリケーション開発者とのコデザイン、共同設計のアプローチをとっています。」と石川氏は述べている。

この取組みは、「同じ釜の飯を食う」ということわざに導かれている。「同じ釜の飯を食う」ということわざは、一つ屋根の下で暮らすことを意味している。 石川氏にとっては、「共に働き、経験を共有し、共に課題を解決し、成功を分かち合う」という意味があるそうだ。石川氏は、理研と富士通の関係をこのように捉えている。「顧客と業者でありながら、一緒にプロジェクトを運営し、経験と喜びを分かち合っているのです。」と石川氏は語る。

「プロジェクトの最大の課題は、長期的なハードウェア技術の予測でした。」と石川氏は語る。2013年に予算と性能目標が決まったが、期待される技術、特に10nmサーバシリコンの入手が遅れたという。理研は納期を延長し、富士通との間で次世代シリコン技術を開発・取得し、その上でできるだけ遅延を短縮することに取り組まなければならなかったという。もう1つの課題は、AIのワークロードに使われる半精度浮動小数点演算への対応だったと石川氏は付け加えた。

インタビューの全文は以下からご覧ください。