これは我々が待ち望んでいるエクサスケールのブレークスルーなのか?
Tiffany Trader

7月にYouTuneに上げられた独特のHeinz Wolff教授にナレーションされたアニメーションビデオは、注目すべき特許を持つオプティカルプロセッサのプロトタイプを詳述している。努力の背後にある、UKベースのスタートアップ企業であるOptalysysは、数年以内に予定通りにエクサスケールレベルの処理能力を持った標準サイズのデスクトップコンピュータを提供すると語っている。
Wolff教授が説明するように、Optalysysは、わずかなコストと消費電力で電子機器が達成できるものを超える速度で計算集約型の数学関数を実行するために、電気でなく光を使う新技術を開拓している。
この企業によると、340ギガフロップスの概念実証モデルは2015年1月にリリースされる予定であり、研究室環境で、大規模なデータセットを解析し、複雑なモデルのシミュレーションを生成できる。
いまだ基本的にシリアルプロセッサが使われる現在のスーパーコンピュータとは異なり、Optalysysのオプティカルプロセッサは光の特性を活用し、同じ計算を並列に光速で行うのだ。
「Optalysysの技術は、CFD(計算流体力学)やパターン認識で使われる同じプロセッサ集約型の数学関数を計算するために、回折とフーリエ光学の原理を適用しています。」と、創業者でありCEOのNick New博士は説明する。「低出力レーザーと高解像液晶マイクロディスプレイを使って、計算は並列に光速で行われるのです。」
この企業は2つの製品を開発している。「ビッグデータ」解析システムと光ソルバー・スーパーコンピュータで、どちらも予定では2017年のリリースとなっている。
解析ユニットは従来のスーパーコンピュータと連携して動作する。最初のモデルは1.32ペタフロップスから始まり、2020年までに300ペタフロップスまで上がる予定だ。
Optalysysの光ソルバー・スーパーコンピュータは、最初は9ペタフロップスの演算能力を提供し、2020年までに17.1エクサフロップスまで増加する。
おそらく、すべての中で最も印象的な特徴は低減されたエネルギーフットプリントだ。従来のシリコンプロセッサのアプローチを使ったエクサスケールへの到達において電力は一番の障壁のひとつのままだが、これらの光コンピュータが必要なのは標準電源だけであると言われている。推定運用コスト:年間たった2,100ポンド(3,500米ドル)
比較のために、今日の技術でエクサスケールレベルまで上げると少なくとも200MWの電力が必要で、現在最速のスーパーコンピュータである中国・広州のTianhe-2は24MW(冷却を含む)を必要とし、年間2千百万ドルのコストが掛っている。
Optalysys社は今年初め、4十万ポンド(US $675,000)のシードマネーを調達し、NASAの技術成熟度レベル4に前倒しスケジュールで持っていくことを可能にしている。
当初これらのシステムは、世界中で25万人のエンジニアと科学者を含むCFD市場をターゲットとする予定だ。CFDは気象予測、自動車および航空宇宙設計などなどの多くの分野で必須の技術だ。
「潜在顧客との初期の会話は非常にポジティブであり、最大規模の気象センターのひとつは、高品質の予報を出すためのエネルギーコストと巨大なデータ量の取り扱いが現在のプロセッサ技術ではできないために、私達との協力を熱望していると言っています。」とCEOを語っている。「私どもの目標は野心的ですが間違いなく達成可能であり、Optalysysの技術がグローバルな科学とエンジニアリングのコミュニティにとって画期的なものとなると確信しています。」