世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


12月 26, 2014

デザイン&シミュレーション倶楽部 【データ・フローで考える(1)】

工藤 啓治

データは貯めるのではなく、使う。それも、鮮度があるうちになるべく早く使う。時間が経てば経つほど、急速であれじわじわであれ、その価値を失っていきます。データと聞くと反射的に"保存する"という言葉を次に思い浮かべがちですが、実は生ものだということを意識する必要があるのです。過去の設計情報も参考にしたいけれど、今設計している製品の情報は何よりも早く入手したいですからね。

データを一番新鮮に使うには、データを出力した人やタスクが、それを使う人や仕事に、即渡してやればいいのです。それには作業手順(プロセス)の自動化が最も相応しいのです。

ここでよく言われる標準化と自動化の意味をプロセス視点とデータ視点で比較してみましょう。プロセスを標準化するのは一定レベルで仕事の品質を確保するためと自動化の準備のため、プロセスを自動化するのは時間効率を上げて結果を得るためです。

一方、データ視点でみると、データを確実に正しく使う方法が標準化で、データを一番新鮮に扱う手段が自動化なのだと考えることができます。保存する方法もまた標準化されれば、すぐに検索できて、データを新鮮なうちにいつでも再利用できるという、さらに大きなメリットも生まれます。

プロセスとデータは常に対になっているように見えますが、本質的な違いがあります。プロセス・フローからデータ・フローを作成するにはプロセスの中身を理解し入出力データの関係を把握しないと生成できませんが、データ・フローが先に分かってさえいれば、プロセス・フローは自動的に作成できてしまいます。つまりデータ・フローさえわかれば、プロセス・フローは一意的に決まるという数学的言い方もできます。このことは、業務全体の複雑なプロセス・フローを把握する上で実に大きなヒントを与えてくれ、ワクワクする仕掛けを作ることができるのです。

さて、データ視点で捉えると面白いことがたくさん見えてくるので、シリーズにしてみましょう。今回はこの辺で。

*本記事は、Facebookページ「デザイン&シミュレーション倶楽部」と提携して転載されております。