世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


8月 26, 2013

NASAハイパーウォールに可視化を実現

HPCwire Japan

Alex Woodie

NASA先端スーパーコンピュータ部門の研究者は大量の計算機パワーを使うことが可能だ。特に世界で19番目、米国で9番目に速いスーパーコンピュータPleiadesもその一つだ。ただ、いろいろな方法でデータを探査する必要があるときには、非常に高解像度で複雑な物理現象を128個のLCDモニターに映すことができるhyperwall-2に切り替えることになる。

hyperwall-2は、端的に言ってしまえば、どんなゲーマーでさえ夢見るようなディスプレイ環境だ。そのパワーたるや、1024個のAMD Opteronコアに、128個のNVIDIA GeForceをGPUに持ち、208GBのグラフィックスメモリに接続されていて、横28フィートx縦10フィートのウォール型ディスプレイに、2.5億ピクセルの画像が映し出されるのだ。しかし、この怪物に課された義務は、シューティング・ゲーム(FPS)で勝つことではない。最先端科学を可視化することに使われるのである。

NASAのスーパーコンピュータ・センターは、最近、カリフォルニア州マウンテンビューのモフェット・フィールドに置かれたある施設で、ジャーナリストを招き、hyperwall-2のツアーを実施した。hyperwall-2 の128個のLCDモニターは、個々の ”セル”に割り当てられた画像を表示するというよりも、スクリーン全体で一つの画像を表示すると言った方がより適切な印象である。

その場にいたDesign Newsの関係者たちは、hyperwall-2 が銀河系の誕生の画像や、地球上の大洋エネルギー流、NASAの最新の巨大運搬機のシミュレーションを映し出している様子をビデオに収めた。

hyperwall-2による可視化は、NASAが宇宙を科学的により深く理解するには、不可欠の技術だ。”この装置のような高解像度の可視化ができなければどうなるだろう。テラバイトものデータを前にして、ラップトップしかなければ、非常に低い解像度でしか見れないことになる。”と、NASAの職員がビデオで語っている。

hyperwall-2は、Pleiadesのラスター・ファイルシステムとInfiniBandネットワーク経由でつながっている。”直接つながっていることによって、可視化専門家はPleiadesのファイルシステムから直接データを読むことができ、hyperwall-2でのプリ・ポスト処理を可能にする。これにより、実際の可視化作業を行うのに、巨大なファイルをコピーする時間を節約することができる。”と、ウェブ・サイトでNASAは述べている。

ピクセルで埋め尽くされる大きな壁は、1.5ペタバイトのストレージと連動して、9テラフロップスの独自の計算パワーを持つ。Colfax International社によってNASAのためにカスタム製造されたこのシステムは、Suse LinuxをOSとし、PBSジョブ・スケジューラで制御され、CやIntel Fortranのコンパイラを持っている。

hyperwall-2で描画可能になる科学的可視化は、現在Pleiadesになされている改良により、さらに進化するだろう。SGI製のクラスタにより3312個のIntel Ivy Bridgeノードが搭載されることで、計算パワーが劇的に加速されるからである。