世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


4月 26, 2016

中国の100ペタフロップスがコーナーにさしかかる

HPCwire Japan

Tiffany Trader

1年少し前のアメリカ政府による輸出規制によって、2013年6月以来世界最速であり当初の計画では100ペタフロップスの性能を持つ中国のTianhe-2スーパーコンピュータのアップグレード計画が頓挫される脅威にさらされている。当時業界の多数は、インテルや他のハードウェアベンダー等の米国技術へのアクセスを禁止することによる中国のスーパーコンピューティング能力をブロックする取り組みは裏目に出るだろうと予想していた。

実際、中国は国産スーパーコンピューティング・プログラムの取り組みを倍増する動機付けに成功し、潰されたインテルとの取引用の現金を持っていたのだ。ブラックリストのニュースが出て6ヶ月もしないで、中国は様々なネイティブ・チップ、アクセラレータおよびインターコネクト技術を用いた1台でなく2台の100ペタフロップス・スーパーコンピュータの建造計画を発表した。失速したTianhe-2のアップグレードは復活したのだ。おそらく2016年後半の予定だ。

昨年ブラックリストの話題を報じた同じ出版誌であるVR Worldは、2016年6月にドイツ、フランクフルトで行われるInternational Supercomputing Conferenceにおいて、完全に実現されたTianhe-2スーパーコンピュータの「デビュー」を予定していると報じている。もしシステムが早ければ、中国が予想を超える初めてのことではなくなるだろう。中国は2年前に33ペタフロップス(LINPACK)のTianhe-2を登場させている。

VR Worldレポートから:

「古いXeon Phiのカードは段階的に廃止され、新しいTianhe-2はハイブリッド設計となっており、2つの新機能が追加されます。Phytium Technologies社は最近システムをアプグレードするためにPCI Expressカード形式でXeon Phiをリプレースする”Mars”プロセッサおよびマザーボードを出荷しました。48,000個のアドイン・ボードが搭載されたとすると、その64コア設計によってシステムは当初の性能目標に達することができます。Tianhe-2内の3百万個の新ARMコアによって、Linpackベンチマークにおける推定Rpeak性能は100PFLOPSを超えることになるでしょう。」

ARMベースプロセッサ”Mars”の創始者であるPhytium Technologies社は、2012年8月に設立されている。Tianhe-2の計画目標はピーク性能100ペタフロップスで、LINPACKでおおよそ80ペタフロップスであるが、VR Worldはマシンの最高速度を2-3倍以上に押し上げるのに十分なもうひとつの計画(当初のXeon CPUプラス国産ShenWeiプロセッサおよびPhytiumアクセラレータカードを使うことで)があると報じている。

Tianhe-2は中国の国防技術大学(NUDT)により中国のIT企業Inspurとの共同で構築され、32,000個のIntel Xeon E5-2692 v2プロセッサと48,000個のIntel Xeon Phi 31S1P子プロセッサを搭載している。このマシンは2013年6月以来、LINPACKベンチマークで33.86ペタフロップスの性能により、TOP500リストの首位にある。

中国のプロセッサ開発は中国政府により中国の国産産業の強化および外国の利権の減少もしくは排除を目的として、先端技術の開発を刺激するために資金提供され管理されている863計画として知られる国家ハイテク研究発展計画によりスポンサーされている。

この話はさらに続く…