HPC、5年間は年平均成長率6.8%、昨年10億ドルを費やしたのはどのハイパースケーラーか?
Doug Black

HPCサーバーの市場シェアを競い合う中で、HPEはDell EMCよりも僅差でリードを守っているが、アナリスト企業Intersect360 Researchの最新のHPC市場最新情報によると、サーバーとストレージの市場シェアを合わせると、Dell EMCは3ポイント以上の差をつけている(29.8% 対 26.5%)。
全体的に見ると、HPC業界は、現在市場の58%を占めている企業部門と、9.1%増加しHPC支出の35%を占めているサーバー製品カテゴリとに牽引され、2018年に前年比3.2%増の360億ドルとなった。
スーパーコンピューティングクラスのシステムがすべてのカテゴリを上回り(150万ドル以上の支出)、エントリーレベル(5万ドル以下)のシステムが追いつくことで、市場の上限に向かっての成長が重要視された。クラウドHPCは16%増の12億ドル以上、HPCストレージは1%強増の57億ドルとなった。
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Addison Snell | |
AIの新たな低迷期への懸念を蹴散らすかのように、Intersect 360は2018年に、大規模企業ではなんと90%にあたる80億ドルを機械学習に費やしたと報告した。HPC市場において最も先進的なAIの導入ケースは金融サービス業界であり、56%のHPC組織が機械学習の運用を行っている(通常はHPCと同じハードウェアを使用し、多くの場合設定の変更(GPU等)を行っている。 「AIのワークロードは、あらゆる種類の企業や研究で広がりを見せており、HPC市場とハイパースケール市場の両方に影響を与えています。 HPCでは、最高予算の予想に明確な効果があるだけでなく、機械学習のワークロードに対応するためにさまざまなテクノロジの選択も行われています。」
Intersect 360 Research CEOのAddison Snellは、フランクフルトにて開催されたISC High Performanceでのプレゼンテーションで、「(HPCにおける)成長はサーバー市場に集中していました…」と述べた。「つまり、人々がより重いノードを購入していたということです。この場合、最大の効果は機械学習によるもので、より多くのGPUをサーバーノードの一部として構成したため、ノードが比較的高価になりました。また、ストレージコンポーネントが、主にフラッシュの形でサーバーに引き戻されていました。現在、ストレージは再びノードに戻ってきていますが、回転するディスクの代わりに、フラッシュとNVMEコンポーネントを使用しています。」
将来的にみると、Intersect360は今後5年間で6.8%のHPC市場CAGRを見込んでおり、「強力な市場ファンダメンタルズと機械学習および分析ワークロードの増加によって」、2023年には500億ドルを超えるだろう。
Intersect 360における興味深い発見があるとすれば、HPCとは異なるカテゴリに分類されるハイパースケール分野でのものだ。全体的に見ると、ハイパースケール市場は昨年30%の成長で570億ドルとなり、11のTier 1ハイパースケーラーがITインフラストラクチャにそれぞれ10億ドル以上を支出、Snellは名を明かさなかったが、そのうち1つは1年間でIT支出に対する100億ドルの壁を突破し、ハイパースケール支出の81%を占めた。実際、Snellによると、同社は「10億ドルをはるかに上回る」支出をしているということだ。
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出典:Intersect360 Research | |
「もしあなたが、人々(ベンダー)が、例えばHPCよりも先にハイパースケール企業に注目していると思うなら、まず、大型スーパーコンピュータのコストは1億ドル以上のであると考えてください」とSnellは述べた。「しかし、1年間に10億ドル以上をハイパースケールのインフラストラクチャに費やした企業は11社あり、その規模は1桁も大きいものです。もしあなたがそのうちの1社を得るとすれば、あなたが売ることになるたくさんのチップかNICになるでしょう。」
Intersect 360が示すところによると、HPCの収益を業種別に見れば、商業サービスが現在市場の58%を占めており、13%金融サービスが13%、続いて大規模製品製造およびバイオサイエンスか各8%、そしてエネルギー、消費財製造および小売、それぞれ5%となっている。
研究、すなわち「伝統的なHPC」の面でにおいては、昨年、学術/非営利セクターがHPC市場の17%を占め、続いて国家安全保障が11%、国家研究機関が10%であったとIntersect 360は示している。
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出典:Intersect360 Research | |
HPCサーバの市場シェアにおいて、Dell EMCは引き続きHPEの首位を追随し、現在では1%ポイント未満の差であるとSnellは述べた。彼は、HPCサーバーは他のHPEサーバー製品と比べて売れ行きがよい、と付け加えた。さらに、「HPEがサーバーをMicrosoft Azureに売却した件も含め、ハイパースケール分野での事業を失ったことは知られていますが、実際に、HPEがサーバービジネス全体の中で得られたもので、最も生き延びていることを意味します。」と述べた。
Intersect360の調査結果によると、2018年の「トップクラス」のシステムサプライヤはHPE、Dell EMC、Lenovoで、全回答の43%を占め、HPEは報告されたインストールの約3分の1を占め続けている。また、Intersect 360によると、Supermicroは引き続きシェアを伸ばしており、システムは前年の4.4%から5.2%と、増加したと報告されている。
HPEが最近買収したCrayは、HPEのサーバー市場シェアを拡大する(しかしSnellは、最新の調査から、サーバーとストレージの市場シェアを合わせると、DellはHPEとCrayを合わせた合計を上回るだろうと述べている)。
「HPEとCrayの提携により、高性能コンピューティングにおいては、2つの大手企業が結集したことになります」とSnellは述べた。「2018年、HPEは6年連続で世界のHPCサーバー収益のマーケットリーダーとなりました。一方Crayは、2017年から2018年までその同じカテゴリで最も大きな成長を遂げました。この組み合わせは、HPEがスーパーコンピューティング市場の頂点でエリートプロバイダーとして確立しながら、市場収益における地位を高めていくことになるでしょう。」
Snellによると、ストレージシステムサプライヤの間において、HPCサイトでの公的大規模調査に基づいて報告されたストレージシステムのDDN、Dell EMC、およびHPEのシェアは、2017年からわずかに増加した。Snellは、すべてのアクティブストレージシステムのうち49に1ペタバイト以上のストレージ容量があると述べている。
この記事の初出は、HPCwireの姉妹誌EnterpriseAI.newsです。