世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


6月 3, 2014

動物飼育がHPCに向かう

HPCwire Japan

Tiffany Trader

オランダに拠点を置く食品産業動物研究者のコンソーシアムは、メンバーが遺伝学に関連する計算を実行するための共同HPCリソースに700,000ユーロを超える投資を行っている。動物飼育会社の4社とWageningen UR(訳注:オランダの大学)の動物飼育・ゲノムセンターのイニシアティブであるBreed4Foodコンソーシアムは、農業・食品センター(CAT-AgroFood)にある先端技術センターと共同でこの新しいスーパーコンピュータを使い、育種値の推定を支援するための大規模なデータ解析を行う。

2012年9月に設立されたBreed4Foodのプログラムは3つの主要な研究分野にフォーカスしている。

I. DNA情報の活用
II. 新しい育種目標の特長付け
III. 食物連鎖への付加価値の創出

DNAシーケンシング技術の最近の進展における直接の結果として、HPCへの移行は、食品科学業界におけるビッグデータの新たな時代を反映している。
データ量が増加するにつれて、データ上での複雑な計算を実行する能力が必須だ。今回の場合、追加のコンピューティングパワーは研究者が、育種値の総合的な解析を行い、繁殖のために掛け合わせる最適な動物の選択を行うことができるようになるだろう。

動物飼育会社やWageningen UR (大学および研究センター)内の育種と動物遺伝学を行っている研究グループはBreed4Foodコンソーシアムの下で団結し、この新スーパーコンピュータで利益を得るのだ。パートナー企業であるHendrix Genetics、COBB Europe、CRVおよびTOPIGSは、自社のコア活動と長期的研究に、このコンピュータを利用する予定だ。動物育種は主要な利用事例であるが、新システムは植物の品種改良や他のHPC指向の分野を促進するためにも利用することができる。

Breed4Food のディレクターであるBernard de Geusは、HPCの導入が食品科学のための肯定的なステップであると見ている。「科学技術は驚異的な速度で開発が進んでいます。両方の当事者が近くに研究施設を持っていることが非常に重要です。これにより、集中的に相互に協議することを可能にし、結果として得られた新たな科学的情報を企業において技術革新に迅速に変換することができるようになります。」