セレブラス社のチップ、ポストエクサスケール技術を見定めるプロジェクトの一部

Agam Shah　オリジナル記事

セレブラス社は、世界最大のチップとされるウエハースケールエンジンチップで、またもや米国政府からの受注を獲得しました。

セレブラス社のチップ技術は、核兵器の貯蔵量を評価するための将来のコンピューティング技術を見つけるために、国家核安全保障局が主催する研究プロジェクトの一部として使用さ れる。

NNSAとそのパートナーは、ポストエクサスケール技術の研究イニシアチブの一環として、このチップの能力を評価する。

NNSAのAdvanced Simulation and Computing (ASC) プログラムは、カリフォルニア州リバモアのローレンス・リバモア国立研究所でホストされる予定のEl Capitanと呼ばれるエクサスケールシステムの40倍の速度を実現する技術を研究している。

米エネルギー省が今月発表した25年ASCの業績報告書によると、米国初のマルチエクサフロプスシステムとなるスパコン「El Capital」は、2023年か2024年にオンライン化される予定だという。このシステムはHPEがAMDと共同で構築しており、リバモア研究所はすでに3つのテストベッドシステムを納品している。

セレブラス社のシステムは、エネルギー省の “Advanced Architecture Prototype Systems “と呼ばれる実験システムの評価プログラムの一部となる可能性がある。最初のAAPSシステムは、Astraと呼ばれ、Armプロセッサをベースにしたペタフロップス-システムであった。現在、コードネーム「Vanguard-2」と呼ばれる後続のシステムが構築されている。ASCのロードマップによると、次のAAPSシステムであるVanguard-3の開発は2026年に開始される予定だ。

プロジェクトのページによると、ポストエクサスケールプログラムでは、「量子コンピューティングやその他の新しいハードウェア、コンピュータアーキテクチャ、ソフトウェア、関連ハードウェアおよびソフトウェア技術の可能な軌道、NNSAのニーズを満たす米国の産業基盤の能力」についても検討されている。

NNSAの目標は、現在の核兵器庫の評価に関わるストックパイル・スチュワードシップ・プログラムの計算能力を向上させることだ。この年次プログラムは、政府が実地試験を行わずに核兵器をシミュレーションし、評価するのに役立つものである。計算能力の向上は、試験能力を向上させることになる。

85万個のコアと2兆6000億個のトランジスタを持つセレブラス社のウエハースケールエンジンは、すでに米国政府によって評価されていた。科学研究に力を入れているアルゴンヌ国立研究所は、人工知能用途のGPUに代わるものとして、セレブラス社のチップを評価していた。NNSAとロスアラモス、サンディア、ローレンス・リバモアなどの関連研究所は、核兵器の備蓄やその他の兵器技術に重点を置いている。リバモアでは、セレブラス社の第1世代CS-1マシンが、2020年にNNSAの非分類スーパーコンピュータ「Lassen」に統合された。

セレブラス社のCEOであるアンドリュー・フェルドマン氏はHPCwireに対し、「スタートアップの場合、信頼を勝ち取り、ワークロードにアクセスし、得意かどうかを確認することすら極めて困難です」と述べている。

NNSAのプロジェクトにより、セレブラス社はまったく新しいクラスの顧客と協力することができる、とフェルドマンは述べている。

セレブラス社のチップは、グラクソ・スミスクライン社やトータル・エナジーズ社などの民間企業でも使用されている。WSE-2チップは、民間や公的な領域でより多くの受け入れられつつあり、より多くのアプリケーションが見つかり、AIモデルが成熟するにつれて、製品も成熟してきた。

「ソフトウェアの世界では、まずお客様の手に渡ることが大切だと言われています。ハードウェアの世界では、チップを作り、システムを手に入れるまで何年もかかります。それなら、お客様の手に渡って、できるだけ早く学ばなければなりません。」（フェルドマン氏）

セレブラス社のチップは科学・研究用途で実績を上げているが、日常的に使うにはまだ法人顧客の前に出てきていない。Google CloudやAWSは、そうした用途のために自社開発のAIチップのインスタンスを置いているが、セレブラス社のチップは格段に高速で、ハイパフォーマンスコンピューティングのワークフローに組み込むことができる。

「クラウド専売 になるつもりはありません。何らかの理由でオンプレミスのソリューションを求める顧客にも提供し続けるつもりです」とフェルドマン氏は語った。

セレブラス社は、大手クラウドプロバイダーとの提携を希望しているとフェルドマン氏は述べ、「そのためには時間が必要だ。それには時間がかかります。」