世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


3月 23, 2015

微細化の限界を押し戻す

HPCwire Japan

Tiffany Trader

過去半世紀にわたり、コンピュータは社会のほぼすべての面を変えてきた。情報化時代とその継続的な進化は、集積回路の発明とより細かい設計サイズの発展と共にあった – より小さく、高速で安価なマイクロプロセッサによる世代交代を可能にしてきたのだ。

しかし今では、一般的にムーアの法則と呼ばれる現在のコンピューティングの基本的傾向は危険にさらされている。年間650億ドル以上の価値を持つ米国半導体業界においては、ビッグデータとモノのインターネットの完全な未来はいまだに来ず、現在の勢いを次の50年間継続することができる代替技術を探す大きな動機があるのだ。

最近の特集で、NSFの科学ライターであるAaron Dubrowは安定水準に達している指数関数の崩壊を防ぐいくつかの取り組みについて説明している。
半導体産業の進むべき方向性を示す国際半導体技術ロードマップ(ITRS)は、長さ5ナノメートル、幅1ナノメートル(シリコン原子5個分)のトランジスタを作る縮小するCMOS形状の次の10年を予想している。

原子スケールにおいては、予測性は壊れ、量子トンネルや原子論的障害のような奇妙な現象が起きてくる。これらの現象を理解することは、NEMO5(NanoElectronicsMOdelingツールの第5版)のような特殊なモデリングソフトウェアが必要だ。Gerhard Klimeck率いるパデュー大学の研究チームが開発したNEMO5は、マルチスケールでマルチフィジックスな現象をモデル化する。これは、たった原子数個分の幅のトランジスタのような将来のナノエレクトロニクス・デバイスの設計を可能にする。

Klimeckと彼のチームは、NSFペタスケール・コンピューティング・リソース・アロケーション賞を受賞しており、彼らのNEMO5ソフトウェアを強力なBlue Watersスーパーコンピュータを一緒に利用することが可能で、現在の半導体技術の限界を評価し、代替素材とアプローチを探求するのだ。

チームの調査結果は、CMOS形状の継続的な縮小で発生する課題のいくつかを示しており、2014年のITRSロードマップの情報として使われている。