世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


4月 14, 2015

初のハイブリッド・ニューロモーフィック・スーパーコンピュータをシミュレートする

HPCwire Japan

Tiffany Trader

脳を真似たコンピューティングを実現するために、基盤となるハードウェアは脳が自然に行っている事をシリコンの中で行うために、十分に強力になる必要がある。この分野における重要な進歩のひとつは、IBMが国防高等研究計画局から資金を受けて開発した2014年に登場した最初のニューロモーフィック・チップ「True North」だ。

最近、IBMが動作させた技術をさらに探求するプロジェクトが発表された。
「次世代ハイブリッド・ニューロモーフィック・スーパーコンピュータシステムの超並列モデルとシミュレーション」の一部として、レンセラー工科大学の研究者らはニューロモーフィック・プロセッサを次世代スーパーコンピュータに組み込む可能性に取り組んでいく。

空軍研究所から130万ドルの助成金を受け、レンセラーのチームは研究所のスーパーコンピュータAmosを利用して、提案されているニューロモーフィック・スーパーコンピュータの設計の超並列シミュレーションを実行する。このモデルはまた、様々なネットワーク設計を試験したり、計算集約型およびデータ集約型の科学エンジニアリング問題へのマシンの適合性を評価することを可能にする。

研究者らは、ニューロモーフィックおよび通常のプロセッサの両方を使うハイブリッド・スーパーコンピュータの構築の可能性を試験することを考えている。混成プロセッサのアプローチは、AMD x86 CPUとIBM Cellコプロセッサを混ぜ合わせて2008年にペタフロップの障壁を乗り越えたロードランナー以来、人気が高まってきている。これはシミュレーションであり、実際のTrue Northハードウェアは使わないが、研究者はIBMのプロセッサ仕様でのモデルとそのシミュレーション開発キットをベースとする予定だ。

「私達が求めている疑問は:未来のスーパーコンピュータの設計が複数の組み込みニューロモーフィック・プロセッサを持つようになったらどうなるのか?です。」と計算イノベーションセンターのディレクターであるChristopher Carothersは公式発表の中で語っている。「コンピュータをどのように設計するのでしょうか?そしてどのような新機能を提供するのでしょうか?」

脳の計算能力の主な利点のひとつは、その速度と効率である。ニューロモーフィック処理を行うコンピュータは、従来のチップよりはるかに少ないエネルギーを使用し、そして少ない熱を出すことが期待されている。また、パターン認識やエラーメッセージ処理のような分類問題に優れているのだ。

True Northアーキテクチャは、自然に耐故障性のある非常に高速な並列コンピューティングをサポートする。このチップは、4,096の神経シナプスコアのネットワーク内に配置された54億のトランジスタを内蔵しており、それは100万ニューロンと2.56億シナプスと同等のものである。

これと他の研究がどのように展開するかによって、ニューロモーフィック・プロセッサはいつの日か、汎用GPUやインテルのメニーインテグレートコア(MIC)アーキテクチャと並んで、ヘテロな計算ツールボックスの中で、もうひとつのツールを提供するかもしれない。