ADEPT、エネルギー効率に優れた並列処理を強調
Tiffany Trader

来るべく世代のスーパーコンピュータが必要とする膨大な電力量:それはHPCコミュニティの大きな話題のひとつだ。数字は驚異的である。今日の技術で構築すると、エクサスケール・マシンの年間電力の支払いは5億ドル近くなるだろう。
エクサスケール・ターゲットに達するには、密着しているが多面的な努力が求められるだろう。メモリの壁、電力の壁、プログラミングチャレンジなど:様々なパーツにおいてプロジェクト計画が取り組まれている。EUが資金提供したADEPTプロジェクトは、並列技術を使ったエネルギー効率性を模索している。
ADEPT、ADdressing Energy in Parallel Technologieの略称で主に2つの要素がある:1)HPCソフトウェア開発者が性能のために並列処理を活用することを助け、および 2)エネルギー管理を行う組み込み系システムエンジニアを支援する。
最終目標は、ユーザモデルを支援し、彼等のコードの消費電力と性能を予測するツールを作成することである。
本質的には、ADEPTは、各部門の独自の強みを活かし、HPCと組込コミュニティの能力を組み合わせている:HPC側の並列処理と組込側のエネルギー管理。これは各分野が他から学ぶための絶好の機会でもある。
「HPCの世界の強みは、本質的にソフトウェア・アプリケーションの並列化にある:並列計算は、あるアプリケーションが完了するまでの全体の実行時間を短縮するために使用される。」とプロジェクトのウェブサイトは言っている。「その結果、HPCソフトウェア開発者は、並列性能分析および性能最適化の専門家でもあります。」
続けて、「組込システム部門は、エネルギー使用量を管理する上で優れています。何故なら、それはしばしば制限された電力とエネルギーの量によって制約されているためです。」
「1部門の強みは、他方にとって相対的な弱さでもあります:HPCでの電力管理と電力効率は初期段階にありますが、それらは、より多くの電力を必要とするHPCシステムでますます重要になってきています;そしてエネルギーと電力予算によって継続的に制約されます;低電力マルチコアプロセッサの最近の進歩は、組込システムのためのハードウェア・アーキテクチャの選択肢を広げており、組込システムのプログラマは、HPCプログラマがさらに精通している並列コンピューティング技術をますます使用することを強いられます。」
このプロジェクトは、新エネルギー対応のHPCパラダイムを反映している。エネルギーの高コストとその環境への影響の間で、高性能コンピューティング、および一般的なコンピューティングは、純粋な性能よりも必然的にワットあたりの性能を重視し始めている。この目的のためにADEPTは、並列ソフトウェアとハードウェアの電力使用方法について、より良い理解を提供する。大規模なアプリケーションの電力使用量の削減は、経済と環境の観点からエクサスケール・システムがより実現可能に近づくのを助ける。
ADEPTは、2013年9月1日に始まり、3年間実施するようにスケジュールされている。プログラムはエジンバラ並列コンピューティングセンター、エジンバラ大学のスーパーコンピューティングセンターによって推進され、パートナーとしてウプサラ大学(スウェーデン)、アルファデータ(UK)、エリクソンAB(スウェーデン)とゲント大学(ベルギー)が含まれている。