世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


9月 16, 2015

ミシガン大学のプロジェクトがモデリングと機械学習を合体

HPCwire Japan

Tiffany Trader

我々がその言葉にまだ同意しているわけではないが、HPCと新世代のビッグデータ技術の収束は、科学を変えようとしている。この計算・プラス・データのマントラは、安全、技術革新および競争力における国家の包括的目標を果たす有用なエクサスケール・コンピューティングと高度なデータ機能を求めるオバマ大統領の国家戦略計算イニシアティブで、ホワイトハウスにまで手を伸ばした。

このパラダイムのチャンピオンである全米科学財団は、複数のスケールで高度なデータ駆動型科学に必要なインフラやツールを提供する方向に自らのリソースを指向している。

NSFは、ConFluxと呼ばれる新しい計算リソースがスーパーコンピュータのシミュレーションを実行中に巨大なデータセットとインタフェースできるようにするミシガン大学のユニークな施設に2百42万ドル利用可能にしている。ミシガン大学の大胆な声明によると、「この機能は米国の研究計算インフラにおけるギャップを縮め、データ駆動型物理学の新興分野の最前線にミシガン大学を置くこととなります。」

大学がこのプロジェクトにさらに1百4万ドルを提供し、新しいデータ駆動型計算物理学センターの建設を開始する予定だ。サポートされる分野には、空気力学、気候科学、宇宙学、材料科学および心血管研究がある。

ConFluxは従来の物理学ベースの計算機モデルをビッグデータ技術で強化していく。設計戦略は、データ集約型操作の必要性にマッチする特殊スーパーコンピューティング・ノードを必要とする。次世代プロセッサ、GPU、大規模メモリ、超高速インターコネクト、および3ペタバイトのハードドライブを含む技術を可能にするのだ。

「ビッグデータはWeb解析、ソーシャルネットワーク、およびオンライン広告に典型的に関連しています。ConFluxは、大量のデータを扱う物理モデルのために特別に設計されたユニークな施設となります。」と新しい計算技術の実装を監督するミシガン大学の計算機科学工学の准教授であるBarzan Mozafariは語った。

現代の計算能力の領域外でスケールを伴う非常に複雑で、物理学ベースの計算機モデルの場合には、近似が使用される。研究者らはトレードオフを管理する高度な技術を開発したが、精度はまだ犠牲になっている。ConFluxは、スケールダウン・モデルと観測および実験データを混在して訓練されたより信頼性のあるモデルを作るために機械学習アルゴリズムを使用する。

複雑で物理学ベースの計算機モデルの助成金に含まれているのは5つの主要な研究だ。5個全てがスケールの問題に取り組み、新システムを最初に使うこととなる。

心血管疾患:MRIやCTスキャンなどの非侵襲的イメージングは、血圧などの疾患の強力な予測因子である患者の動脈の硬さを医師が推定できるようにするだろう。血流の物理モデルとスキャン結果を組み合わせることで、医師はスキャン後1時間以内に動脈剛性を推定することができるのだ。この研究はAlberto Figueroa、生物医学工学と脈管手術の研究教授であるEdward B. Diethrich医学博士に先導されている。

乱気流:空気や水の流れが渦と渦に分裂するとき、純粋な物理方程式は解くにはあまりにも複雑になる。しかし、より正確な乱流シミュレーションは、より効率的な航空機の設計の開発をスピードアップするだろう。また、天気予報、気候科学と液体または気体の流れを伴う他の分野を改善する。 Duraisamyがこのプロジェクトをリードしている。

雲、降水量と気候:雲は大気が熱を保持したり、解放するかどうかの中心的役割を果たしている。風、温度、土地の利用や、煙、花粉や大気汚染などのすべての粒子は雲の形成や降水に影響を与える。気候・宇宙科学と工学の准教授であるDerek Posseltと彼のチームの計画は、雲と降水量が特定の地域や季節の気候の変化にどのように反応するのか見極めるために計算機モデルを利用する。

暗黒物質と暗黒エネルギー:ダークマターとダークエネルギーが宇宙の約96%を占めると推定されている。銀河は宇宙全体に広がる暗黒物質の見えない構造をたどらなければならないが、銀河の形成は他の規則で行われる。点をつなぐようにシンプルではない。大銀河マッピング研究のデータによると、銀河形成のシミュレーションは、宇宙の歴史におけるダークマターとダークエネルギーの役割をよく表現する必要がある。物理学と天文学の教授であるAugust EvrardとChristopher Millerがこの研究を主導している。

材料特性の予測:材料科学者は化学組成と構造に基づいて材料の特性を予測できるようにしたいが、スーパーコンピュータは、強度、脆さや化学的安定性のようなバルクの性質までを原子レベルでの相互作用をスケールするほどには強力ではないのだ。機械工学のKrishna Garikipati教授とVikram Gavini准教授による研究は、材料の構造と特性に関するデータの助けを借りて、既存の理論との結合を行う。