12月 11, 2015
メゾスケールモデルを用いた高圧水素容器シミュレーション
燃料電池自動車の普及には燃料となる水素を供給する水素ステーションの普及が必要である。その水素ステーションには水素を貯蔵するための高圧水素容器が必要であるが、その高圧容器には炭素繊維を用いた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が主流となっている。

炭素繊維強化プラスチックによる高圧水素容器の製作にあたっては、材料コストを抑えながら高圧容器の強度を確保する必要がある。しかしこれまではCFRPの強度評価法が確立されていなかったために、容器の試作と試験を繰り返す試行錯誤的な設計法でしかなかった。東京大学生産技術研究所の吉川暢宏教授のチームはスーパーコンピュータを用いてメゾスケールモデルを用いた強度評価法を提案している。
吉川教授のチームは先端力学シミュレーション研究所の複合材料強度信頼性評価シミュレーターASU/FrontCOMPを用いてCFRP容器メゾモデルを作製して解析を行った。シミュレーションはFX10で行われ、計算は32ノード(512コア)を使ってCPU時間で6.5時間を要した。図が結果である。最大の主ひずみは平らで滑らかになった交差部分で発生している。今後はヘリカル巻きの巻き数と回数を変えることによる違いを課題とするとのことだ。