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12月 16, 2015

プロセッサの多様性が増加、Interset360が報告

HPCwire Japan

John Russell

Intel x86プロセッサは、プロセッサ当たりのコア数も上昇を続けながら引き続きHPCサーバを占有している、おそらく何の驚きもない。また予想されていることではあるが、コア当たり、プロセッサ当たり、ノード当たりのメモリ量は増加している。これらはIntersect360リサーチのプロセッサ利用における最新HPCサイトアンケートのトップラインの結果だ。

もう少し好奇心をそそったのはARMが初期の関心を持たれており「ARMアーキテクチャ・ベースのHPCシステムの登場を指摘する最初のアンケートである」、そしてシステム市場のアクセラレータのシェアが4年間の着実な成長の後にわずかに転落したことである。後者は一時的な停止かもしれない。Nvidiaはいまだ市場を有しているが、Intelが進出してきている。Intersect360は標準化プロセッサの高潮が潮を引き始めたのかもしれないと示唆している。

「単にマイクロプロセッサを見るだけでなく、すべてのマルチコアとメニーコアのオプションを見なければなりません。これまで、その大部分はNvidia GPUでした。現在HPC市場の半分近くが少なくとも何かのアクセラレータかメニーコアの部品を接続していることが分かります。Intel Knights Landingが出てくると、それは厳密に言うとアクセラレータではありません。市場には多くの多様性があり、あなた方が標準化もしくはコモディティと呼んでいるかもしれないものから遠ざかるように特殊化に向けて戻る動きがあるのです。」とIntersect360リサーチのCEOであるAddison Snellは述べた。

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全体として、Intersect360はHPCプロセッサ市場を牽引する幅広いテーマを認めている。

  • ブランド非忠実性:HPC(および他の場所)におけるx86プロセッサ市場のシェアのインテルの拡大にも関わらず、顧客はこれらの部品をまだコモディティとして扱っていると我々は信じており、彼らの特定のアプリケーションの価格性能比が切り替えを保証すればベンダーを切り替えるであろう。
  • マルチコアプロセッサ:シングルコア・プロセッサはほぼ絶滅した。HPCにおける最も一般的なプロセッサは8コアのCPUであるが、将来において何が最も一般的な構成になるかは不明である。
  • メモリ要件:コア当たりのメモリは引き続き上昇している。これは外部記憶装置におけるより大きなボトルネックを緩和することに対する、もしくはより大規模なデータセットとアプリケーションを実行させる結果に対する反応であるかもしれない。
  • アクセラレータ:HPCユーザにとってもはや付け足しではなく、アクセラレータはアプリケーション全般にわたって運用業務として利用されるようになった。我々は1、2年以内に新システムの大半は何らかのアクセラレータを搭載すると予測している。

10月の後半にリリースされたこの最新のIntersect360リサーチの報告書であるHPCユーザサイト・プロセッサ動向調査は、システム・タイプ毎(HPCクラスタ、SMP、MPP、サーバ)の幅広いプロセッサ採用状況だけでなく、メモリやアクセラレータ利用のトレンドを調査している。最も最新の調査は2015年第2四半期に実施された。さらに、2013年と2014年に取られたサイト動向調査のデータは、すべてのサイトに渡って追加の情報を集約するために利用された。この報告書では453箇所のサイトにおける合計781台のHPCシステムによる結果である。

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報告書によると、システムのアクセラレータのシェアが少し落ち込んでいるにも関わらず、今やアクセラレータはHPCに定着している。:「Nvidia、IntelやAMDからの現在の製品は、倍精度浮動小数点演算で軽くピークで1テラフロップスを超えを提供することが可能で、ピーク性能でハイエンドのPowerもしくはx86 CPUの5倍以上を提供できるのです。FPGAの性能は計測するにはさらに困難ですが、ここ数年でははるかに強力な実装(チップ内に通常のARMプロセッサを組み込んだものなど)が可能となってきました。我々の報告書によれば、現在稼働しているHPCシステムの約三分の一がなんらかのアクセラレータを搭載しています。」とIntersect360は報告している。

現在の加速化されたシステムの約半分が20もしくはそれ以上のアクセラレータを持っている、とIntersect360は指摘している:2年前の数値は10であった。Intersect360は、この全体的な増加はより多くのコードがアクセラレータ技術の利点を活用することができるようになり、単なる試験や評価ではなく恐らく運用環境で実行されていることを示していると主張している。

報告されているその他の主なアクセラレータの結果は次のものである:

  • Nvidiaは独占的なサプライヤーのままで、加速化システムの77.8%を占めている。これは2年前の85.3%よりも市場シェアにおいてわずかに減っていることを表している。
  • Intelは2番目に大きいサプライヤーで、加速化システムの11.3%を占めており、我々の2013年のデータから3倍に増加している。Xeon Phiコプロセッサのラインが2012年から利用可能であったことを考えると、Intelは相対的に短い期間でアクセラレータ市場のかなりのシェアを獲得したこととなる。
  • AMDは2013年の0.5%と比較して、市場の1.8%を占めている。過去2年間のFireProサーバGPUライの刷新されたフォーカスによって、最新の調査におけるAMDのより大きな存在を説明することができるだろう。
  • 最も最近インストールもしくは更新(2014+)された中で、加速化システムのシェアはこの4年間で初めてわずかに減少した。

Intersect360は、2012年におけるインテル社の市場への参入がHPCにおける計算のアクセラレータ・モデルを検証することになり、市場の多様性を助長したと予測していた。確かにそういう場合もあるようだ。報告書によれば、IntelのXeon Phiプラットフォームの早期ユーザはアクセラレータに興味を持っていたが、GPU技術を採用することには抵抗していた。今後、Intersect360は今後2年間でIntelがNvidiaからさらにシェアを奪うだろうと予測している。

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ノード、プロセッサおよびコアにおけるメモリの利用が増えることは傾向として残っている。その理由のひとつはIOボトルネックを軽減したいという要求であるとIntersect360は説明している。同様に、プロセッサ当たりのコア数の膨大な増加がメモリ利用をさらに助長しており、その傾向は継続するだろう。

プロセッサ報告書の詳細は次のIntersect360リサートから:http://www.intersect360.com/industry/reports.php

Intersect360はまた最新のインターコネクト報告書を出している。ここにリンクがある:http://www.intersect360.com/industry/reports.php?id=130