NVIDIA Pascal GPUが自動車”スーパーコンピュータ”へ
Tiffany Trader

NVIDIAが、HPCコミュニティとのパートナーシップで開発したその成功したGPGPUエコシステムの要素を取り、それらをはるかに広範囲でより有利な消費者市場に持っていくのに熱心であることは周知の事実である。SC15において、CEOのJen-Hsun Huangは機械学習をHPCの最初の消費者キラーアプリであると言及した。Google、MicrosoftおよびFacebookはここ数カ月においてすべての主要な機械学習に食い込んできており、GPUはこれらのプロジェクト全てにおいて鍵となる要素となっている。
NVIDIAは自動走行車を可能にするために、機械学習の能力の適用に特に熱心であった。先日、このGPUベンダーは、Maxwellの後継と名付けられた16nmのFinFEYベースのPascal GPUで駆動する自動走行車開発プラットフォームであるNVIDIA DRIVE PX 2を公開した。昨年のDRIVE PXのように、この次世代開発プラットフォームは、Audi、BMW、ダイムラー、フォードなどなど数十の拡大するリストにあるNVIDIAの自動車パートナーをターゲットとしている。
2個の個別のPascal GPUとARMコアを持った2基のTegra SOCを搭載し、この新プラットフォームは最大毎秒24兆回の深層学習操作を行うことができ、これは先代の製品の10倍である。汎用計算能力の面では、PX 2は単精度で合計8テラフロップスの性能を提供し、PX1から4倍の向上となっている。適切なインタフェースとミドルウェアに加え、この開発プラットフォームは、NVIDIAのインタラクティブ・深層学習トレーニング・システムである、DIGITSで設計および学習されたDDNモデルを実行するためのCaffe深層学習フレームワークが含まれている。
NVIDIAは、自動運転アプリケーションをより早く、より正確に開発できるように、このシステムを売り込んでいる。CES 2016において、Huangはこのシステムを「自動運転自動車の未来像の実現を可能にするように設計された世界初の車載AIスーパーコンピュータ」と呼んでいた。このCEOによると、この計算能力は150台のMacBook Proに匹敵し、その液冷の「ランチボックス」の形状は容易にグローブボックスやトランクに収まるのだ。そう、これは自動車コンピューティング分野における初の液冷なのだ。従来のライン(HPC,組込、コンシューマーなどなど)がぼやけてくる、もうひとつの徴候なのである。
GTC15のステージでElon Muskと彼が討論した会話を思い起こすと、人間はもっとも信頼性の低い車の部分であり、毎年100万人の自動車関連の死亡者が出ている、とHuangは指摘している。このように、人間をそっくり入れ替えることが社会への大きな貢献であるとHuangは語っている。知覚が主な問題であり、深層学習はスーパー人間の知覚能力を達成することができるのだ。DRIVE PX 2は12台のビデオカメラと、ライダー、レーダーおよび超音波センサーを処理することができる。この360度判断が、物体を検知し、それらを識別し、そして車に対する相対位置を認識できるようにすることで、安全で快適な軌道を計算することができるのだ。
50に及ぶ自動車メーカーがPX 1を使用しており、既にこの新製品に対する1社のパートナーがいる、Volvoだ。世界初の自動運転の公開試験の一部として、スウェーデンの自動車メーカーがDRIVE PX 2技術で装備した100台のXC90ラグジュアリーSUVをスウェーデンの顧客に貸し出すのだ。
「ドライバーは無限に複雑な世界を扱っているのです。」とNVIDIAの共同設立者でCEOのJen-Hsun Huangは語っている。「現代の人工知能よGPUのブレークスルーはついに我々を、自動運転車の困難な課題に取り組むことができるようにしたのです。」
「NVIDIAのGPUは深層学習とスーパーコンピューティングにおける進歩の中心です。継続的に警告し、そして最終的に超人間レベルの状況認識を達成する未来の自律走行車の頭脳作り出すのに私達はこれらを活用するのです。自律走行車は、より高い安全性、新しい便利な移動サービスや、さらには美しい都市設計をもたらすのです。より良い未来のための強力な力を提供します。」
NVIDIAによると、DRIVE PX 2は2016年第4四半期に一般販売され、プライオリティサービスとして、早期アクセス開発パートナーには第2四半期に提供される。DRIVE PX用の新しいソフトウェア開発キットであるDRIVEWORKSリリースは2016年の早春に予定されている。