CAEシリーズ:第13回 日本で開発されたCAEソフトウェア (その2)
今回は「日本で開発されたCAEソフトウェア(そのー2)」ということで前回に引続き日本で開発されたCAEソフトウェアについて説明をさせて頂きます。
電磁場解析ソフトウェア
1. JMAG
JSOLが開発した電磁場解析ソフトウェアです。モジュールとしては
ST 静磁界解析
TR 過渡応答磁界解析
FQ 周波数応答磁界解析
HT 熱伝導解析
EL 電界解析
DS 構造解析
LS 鉄損計算
CB 任意点電磁界解析
RT 制御・回路シミュレータ用モータモデル生成
Pi バスバーインダクタンス計算
PA2 分散処理、並列計算機能(共有メモリ型(SMP) )
MPP 高並列ソルバー
TS トランススタディ(コアテンプレート、コイル損失計算)
Efficiency Map モータの効率マップ計算
JMAG-Express モータの基本特性計算
等があり、幅広い解析機能を持っております。 海外進出も図っており、アジア、ヨーロッパ、米国にパートナーがあり販売・サポートができるようになっています。
自動車業界をはじめ、多くの企業で採用されております。
ホームページは
https://www.jmag-international.com/jp/index.html
になります。
2. PHOTOシリーズ
京都府の奈良県に接する京都の南部にある会社で設立から20年ほどの会社。会社は電磁現象を利用した製品、部品などをコンピュータ上でモデル化し、 シミュレーションする「電磁場解析用ソフトウェア」を開発・販売しています。
機能としては
電磁波解析
動磁場(渦電流)解析
動磁場解析
静磁場解析
電場解析
軌道解析
熱伝導解析
弾性応力解析
FDTD法による3次元過渡応答解析
連成解析
を持っています。
ホームページは
http://www.photon-cae.co.jp/about/index.html
になります。
3. ELF/Magic
大阪に拠点がある会社で30年近い歴史を持つ会社。電磁界解析/電磁場解析ソフトウェアです。解析手法は「有限要素法」とは異なる「積分要素法」を用いています。
この解析手法は「電磁気現象の原理・原則に基づく解析手法」であり、
空間メッシュ不要で解析式による高精度な解が得られる
3次元計算が高速
磁石の解析が容易
スケールの異なる部品の混在が容易
など多くの特長があるとのことです。
ホームページには価格表も載っており、非常にユニークな会社の様です。
ホームページは
http://elf.co.jp/index.php?FrontPage
になります。
4. Femtet
村田製作所での社内利用から出発したソフトウェアです。構造解析のところでも紹介しましたが主に電磁場中心のソフトウェアです。
ホームページは
http://www.muratasoftware.com/products/index.html
であり、電磁波関連の機能としては
解析ソルバ | ||
熱伝導解析 | ||
定常解析、過渡解析 | ||
圧電解析 | ||
静解析、調和解析、共振解析、共振解析を利用した過渡解析(Option) | ||
音波解析 | ||
調和解析 | ||
電場解析 | ||
静解析、調和解析、めっき解析、ホール素子解析 | ||
磁場解析 | ||
静解析、調和解析 | ||
電磁波解析 | ||
調和解析、共振解析、導波路解析 | ||
等があります。詳しくは上記のホームページをご覧ください。
5. その他(Poynting等)
電磁場関連は電器産業が盛んな大阪を中心に多くのソフトウェアがありますので、ここで紹介できなかったソフトウェアが沢山あるかと思います。Poyntingは富士通が開発・販売しているソフトウェアです。
生産技術系解析ソフトウェア
1. TIMON
「東レエンジニアリング株式会社」で開発・サポートしている樹脂流動解析ソフトウェアです。機能としては
Pre/Post
金型冷却解析
充填解析
保圧冷却解析
繊維配向解析
そり解析
の解析ソルバー群から構成されます。
ホームページは
http://www.3dtimon.com/product/product.html
になります。
2. PlanetsX
サイバネットのソフトウェア、もともとは「株式会社プラメディア」が開発・販売していたソフトウェアです。開発力はありましたが、販売力の弱さのためにサイバネット社に買収されたとお聞きしております。
ホームページは
http://www.cybernet.co.jp/ansys/planetsx/overview/
になります。
3. Adstefan
株式会社 日立産業制御ソリューションズで開発・販売をしている鋳造シミュレーションソフトウェアです。Adstefanは鋳型内への溶融金属流入状態や凝固過程をシミュレーションし、その過程を三次元で視覚的に表現することができます。
鋳造欠陥を事前に予測できるので、試作回数の低減、開発期間の短縮、品質の向上が可能で、コスト低減に大きな効果を発揮する鋳造設計の支援ツールとのことです。
ホームページは
になります。
4. TopCAST
トヨタ自動車の関連会社であるトヨタコミュニケーションシステムで開発・販売をしている鋳造シミュレーションソフトウェアです。TopCASTはアルミダイカスト鋳造の実績を豊富に持ち、トヨタ自動車の物性データも盛り込み、 実測に基づいた材料物性、熱伝達係数を利用しているため、高精度な解析が可能とのことです。
販売はトヨタ自動車はもちろんですが、トヨタ自動車の関連会社を主体に販売をしている鋳造シミュレーションソフトウェアです。
ホームページは
http://www.toyota-cs.com/product_information/topcast/index.html
になります。
その他の解析ソフトウェア
1. TSVシリーズ
株式会社テクノスターが開発、販売しているCAEのソフトウェア群で、最初はプリ・ポスト処理のソフトウェアから出発したが、今は幅広い解析ソフトウェアを扱っています。
ホームページは
http://www.e-technostar.com/products/
2. J-OCTA
株式会社JSOLが扱っている材料物性シミュレーションソフトウェア。開発は産学連携プロジェクトで開発された ソフトマテリアルに対する統合的なシミュレータです。プロジェクトリーダは名古屋大学にいた土井正男先生です。
J-OCTAでは、次のようなシミュレーションを行うことができます。
- 分子動力学シミュレーション(エンジン名:COGNAC、VSOP)
- 界面、相分離シミュレーション(エンジン名:SUSHI、COGNAC-DPD)
- レオロジーシミュレーション(エンジン名:PASTA、NAPLES)
- 多相構造シミュレーション(エンジン名:MUFFIN)
ホームページは
https://cae.jsol.co.jp/product/material/jocta/
になります。
上記以外にも日本で開発・販売・サポートされている多くのソフトウェアがあるかと思います。皆様でインターネット等を通して検索して頂ければと思います。
また、相談して頂ければ可能な範囲で回答をさせて頂きます。
次回は「CAE技術の習得」という内容でCAEに関する勉強会や書籍を紹介させて頂ければと考えております。
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