世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


10月 21, 2013

ウォールストリートのHPC

HPCwire Japan

Tiffany Trader

最近の「Total Trading誌」とのインタビューで「60 East Technologies社」のJeffrey Birnbaum氏はHPCと金融トレードの交点における様々なテクノロジーについての見解を示した。金融サービス分野におけるリアルタイム・ストリーミング・データベース・ソフトウェアを専門とする「60 East Technologies社」のCEO兼共同設立者として、Birnbaum氏はこの急成長分野にユニークな視点を持っている。

Birnbaum氏はこの二十年間で、この領域での最も著しい進歩は保存記憶装置としての不揮発性メモリの登場だと考えている。「この数年で構築された同様なシステムより効率が良く、大規模なシステムを、この不揮発性メモリを利用してどう構築するかについては、まだ緒に就いたばかりの状態です。データベースシステムからメッセージ交換システムにいたる全てのソフトウェアに変革をもたらすでしょう。」とCEOは述べている。

Birnbaum氏の世界観によれば、変革の必要性は繰り返し見られるテーマである。現在の高コア数のNUMAベースシステムをどう有効活用するのかが課題である。プラットフォームが継続的に進化すると共に、処理方式、ネットワーク、ストレージIOもバランス良く向上しなければなりません。旧システムが時代遅れになるとともに、より高いパフォーマンスの要請に対応するためにも新しいプログラミング技術や設計アーキテクチャーが出現してくる。

Birnbaum氏は「ビッグCの変化」の新参者ではない。かって彼は巨大投資銀行で、UnixからLinuxへの移行を指揮し、10年たった今では、「 LinuxとインテルXeonが、金融トレードのための事実上の標準プラットフォームです。 」と述べている。

次の革新技術は何かということに関して、Birnbaum氏は次の三つの動向に注目するように示唆している。

1. ソフトウエア定義ネットワーキング(Software Defined Networking:SDN)  高並列の計算と高速のネットワークが結びついて、低遅延でのスケーラビリティの向上が実現出来る。

2. 不揮発性メモリの進歩 より良い性能/スケーラビリティ

3. ソフトウェア・トランザクション・メモリ この並列制御機構により、もっと堅牢なコードの作成が可能となる。

2010年から「60 East Technologies社」はHPCをファイナンシャルサービスの領域に普及すべく、AMPS(Advanced Message Processing System)と呼ばれる旗艦ソフトウェアを提供している。AMPSは次世代計算環境のために設計された低遅延・高拡張性を持つ出版-講読型モデルメッセージシステムのエンジンである。「60 East Technologies社」のホームページには以下のように記載されている。「AMPSはメッセージの発生から最終利用者によるその消費までの全過程に注目し、現実社会におけるメッセージ交換システムにおいてその遅延を減らすように設計されている。」