世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


8月 24, 2016

中国の量子衛星打ち上げ、米国は追い越されたのか?

HPCwire Japan

John Russell

ウォールストリート・ジャーナルによれば、今後数日以内に中国が、世界最大かつ最も人口の多い国家におけるさらなる主要な技術成果を告げる”量子”通信衛星を打ち上げる。(訳者注:実際には8月16日に打ち上げ済み)これは中国のハックプルーフ通信の構築を推進するものである。

これは、2016年11月のリストにおいてさらに高速なマシンの登場が噂されている2番手に大きな間を開けてTop500リストの首位にあるこの春の93ペタフロップスのスーパーコンピュータ(HPCwireの記事を参照、China Debuts 93-Petaflops ‘Sunway’ with Homegrown Processors) を中国が築き上げたものに続く科学技術力による印象的なショーである。ここにウォールストリート・ジャーナルの記事の抜粋がある:

「北京は、量子研究用もしくは1,400ポンドの重量を持つ衛星の構築にいくら資金を割り当てているか公表していません。しかし、量子物理学を含む基礎研究の資金は2005年の19億ドルから2015年には1,010億ドルに上昇しています。科学、防衛、インテリジェンスおよび他の官庁のグループによる7月の議会報告書によると、米国連邦政府の量子研究への資金は年間約2億ドルです。量子科学の発展は”米国国家安全保障を強化する”ことになると言っています。しかし、資金提供の変動が進展を後戻りさせているのです。」

「この分野における中国の投資は米国のサイバー能力の恐怖によって一部動かされている、とワシントンDCベースの中国とサイバーセキュリティに特化した新アメリカのフェローであるJohn Costelloは、米国が中国のネットワークに深く入り込んでいるという2013年の暴露を指摘しつつ述べています。彼はまた、米国の研究機関が、現在セキュアな通信用に世界中で使われている数学ベースの暗号化を打ち砕くことが理論的に可能な強力な量子コンピュータの構築方法を研究していると指摘しています。“中国政府は特に電子的スパイ活動が可能になるように成長していることを危惧しているのです。”とCostello氏は述べています。」

記事で指摘されているように、米国、ヨーロッパ、日本などの科学者は素粒子の未知で潜在的に強力な特性を発見することを急いでいるが、中国の支援状況よりは少ないと研究者は述べている。量子技術はこの国の5カ年経済開発計画におけるトップの戦略的フォーカスであると、3月に発表されている。

記事全文はこちらから(China’s Latest Leap Forward Isn’t Just Great—It’s Quantum, written by Josh Chin): http://www.wsj.com/articles/chinas-latest-leap-forward-isnt-just-greatits-quantum-1471269555