HPCとAIを目指し、ARMがツールベンダーのAllineaを買収
Doug Black

世界の上位25のスーパーコンピュータの80%がそのクロスプラットフォーム開発および性能解析ツールを使用しているAllinea Softwareは、ARMに買収され、HPC、機械学習およびデータ解析市場用の開発ツールのポートフォリオを拡大することで、科学および商用計算用のHPC製品を強化すると発表した。
この買収は、高度なスケールのコンピューティング環境で使用される代替プロセッサの幅広い受け入れを示す可能性がある。ARMプロセッサは、サイズが小さく、複雑さが少なく、消費電力が低いため、モバイルデバイスで一般的に使用されているが、このアーキテクチャは、Applied Micro、Cavium、QualcommのようなARMプロセッサのベンダーによって、積極的にサーバ市場に投入されている。
「HPC(より広範な並列および分散コンピューティング)が魅力的でエキサイティングなポイントになっていることは自明です。」とAllineaの創業者でCEOのDavid Lecomberはブログの中で述べており、彼の組織がARMの開発ソリューショングループ内のARM HPCコンパイラ&ライブラリ・エンジニアリングチームに組み込まれると指摘している。「今日、”我々の種類のコンピューティング”の範囲がもはや科学的研究の領域ではないことが分かったのです。」
AllineaのツールはHPC環境で利用される複数のCPUアーキテクチャをサポートしており、その顧客は米国エネルギー省、NASA、スーパーコンピューティング国立研究所および大学、そしてHPCシステムを科学計算に利用している企業だ。このツールは開発者が数百から数十万コアの範囲のシステムを扱うのに役立っている。製品パッケージには、Allinea DDTと呼ばれるアプリケーションデバッガ、Allinea MAPと呼ばれる性能解析ツール、そしてAllinea性能レポートと呼ばれるシステムオーナー、ユーザおよび管理者用の解析ツールが組み込まれたAllenia Forge開発者ツールパッケージが含まれている。
この買収は同社のHPCにおける長期的成長戦略、ポスト「京」スーパーコンピュータを動かす富士通の64-bit ARMv8-AによるARMの最近の成功の構築と、ARMv8-Aスケーラブル・ベクトル拡張の開始を反映するものだとARMは述べている。これは、ARMv8-Aがインテルが主導するLinuxファウンデーションのコンソーシアムであるOpenHPCをサポートする最初の代替アーキテクチャであることと、ARMv8-Aサーバプラットフォーム向けのソフトウェア開発および移植向けのARM性能ライブラリのリリースに関する発表に続いている。
「クラスタおよびスーパーコンピュータの絶えず増大する計算パワーを活用するソフトウェアの作成と展開は厳しい挑戦です。高速に動作し、正しく動作する必要があり、これは私共のパッケージツールができるように設計されているそのものなのです。」とLecomberは述べている。「ARMの一部として、我々のクロス・プラットフォーム技術の開発を進め、ARMのコンパイラ、ライブラリおよびアドバイザリ・ツールと、我々の既存および将来のデバッグおよび解析ツールとの製品シナジーを活用するために、我々はHPCコミュニティ、顧客、そしてパートナーとの協力を継続します。」
「システムとサーバの複雑さが増すにつれて、HPCの開発者はイノベーションを継続できるように設計された高度なツールを必要とする新しい課題に直面しています。」とARMの開発ソリューショングループのゼネラルマネージャであるJavier Orensanzは述べている。「メニーノード・システムをデバックおよび解析するAllineaの能力はユニークであり、この買収により、ARMエコシステム全体、そしてHPCに普及している他のCPUアーキテクチャだけでなく、人工知能、機械学習や高度データ解析のような将来のアプリケーションに対してもこの機能を我々は保証しているのです。」