世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


12月 16, 2018

【東北大金研】量子演算素子の基礎となる励起子絶縁状態を実現

HPCwire Japan

東北大学金属材料研究所の野島勉准教授、東北大学大学院理学研究科の富安啓輔助教、東京理科大学理工学部の岡崎竜二准教授、茨城大学フロンティア応用原子科学研究センターの岩佐和晃教授、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所の神山崇教授、石川喜久研究員(現:総合科学研究機構)、日本原子力研究開発機構J-PARCセンターの河村聖子研究副主幹らの共同研究チームは、低温で磁石としての性質を示さないことで知られるコバルト酸化物LaCoO3のCoをScで化学置換した新たな物質LaCo1-yScyO3において、元のLaCoO3とは磁気・電気・熱的性質の全く異なる絶縁状態が現れることを発見したと発表した。

また、X線回折・中性子分光実験の結果、この絶縁状態が、電子スピンの総和が異なる2種類の原子状態(低スピンと高スピン)の量子力学的な重ね合わせにより現れるという、これまでに例のない発現機構を突き止めた。

この成果は、励起子絶縁と呼ばれる歴史的に観測例の少ない量子力学的な凝縮状態の糸口をつかんだものとして、その実現だけでなく、将来的な新規量子コンピュータ素子への発展が期待されるという。


ソース:東北大学金属材料研究所