Dell EMC “Rome on Rome”で展開するHPC Ready Solutions戦略
スポットライト

Dell TechnologiesよりAMDの新しい第2世代のEPYCプロセッサ(7002シリーズ コードネーム Rome)用の最新のテクノロジーに完全対応されたサーバが5機種同時に発表された。ISG事業総括製品本部シニアプロダクトマネージャーの岡野家和氏に、その製品の特徴を説明してもらった。
「Dell EMCのこだわりは、”Rome on Rome”へのこだわりです。ソケットアップグレードである所謂 Rome on Naplesでは、メモリの速度やPCI Expressの帯域等、CPUコアの数以外のRomeの最新テクノロジーを享受する事ができないという事から、EPYC Romeの本来の性能を発揮できる”Rome on Rome”の製品5機種をシステムボードレベルから新たに設計しました。このような”Rome on Rome”に対応した製品を持つベンダーはホワイトボックスも含め他にも存在しますが、同時に5機種、の先進的なRomeに完全に対応し、幅広い用途向けに製品リリースをできたメジャーベンダーは弊社以外に無く、AMDプラットフォームを永くやってきたシステムベンダーとして、弊社ならではの製品発表に繋がりました」と、5製品に対する自信が伝ってきた。
ISG事業総括製品本部シニアプロダクトマネージャー 岡野家和氏 | |
日本国内では根強い人気の1Uサイズの2ソケットタイプのR6525であるが、特に注目されるのは、2Uサイズで2ソケット・4ノードを格納する高密度タイプのC6525が紹介されたことだ。このタイプは、2倍の物理ラック密度を実現する事ができる事からHPC分野おける計算ノードとしての利用を想定した製品となっている。もちろん、クラウドビジネスを行うサービスプロバイダーなどでも高密度なノードは人気が高く、ラックの設置面積を効率化できるアドバンテージにより多くの問い合わせがある製品でもある。
「一方R6515やR7515の様な1ソケットタイプのノードに関しては、最大64コアを実装できるRomeは、ソケット単位での課金を行うソフトウェアを利用する場合に大きなメリットになるケースがある事から引き合いは多い」との事であった。仮想化を提供するソフトウェアなど幾つかの製品が、ソケット単位のライセンスを採用している事から、このような経済的な視点から採用するのに良い受け皿となる製品のポートフォリオとして組まれている。
この5つの機種はDell EMC PowerEdgeサーバとして、マルチクラウド環境に備えるべく、多くのアップデートがされている。NIC用メザニンはOCP準拠の規格へ変更され、もちろん、DDR4-3200、PCIe Gen4デバイス(16GT/s)にも対応している。したがって、Mellanox 200Gb/s HDR InfiniBandなどへの対応が可能となり、エクサスケール・レベルの性能とスケーラビリティを実現できる機種といえるだろう。さらにC6525等では、水冷の構成も選択する事ができるとの事であった。
また、現在HPCの分野で不可欠なGPUなどのアクセラレータに対する対応に関しては、次のように説明されていた。
「Romeのチップの特性としてHPCでの利用にも向いている事から、Dell EMCとしては、GPUアクセラレータを戦略的に全機種でマルチサポートし、HPC分野に利用を重要視しています。さらに、今回の発表と同時にR6525とC6525の2製品を中心とした、AMDベースのDell EMC Ready Solutions for HPCも発表しています。これは、計算ノードやストレージなどのハードウェアや、ライブラリやミドルウェア等をセットにしてソリューションとして提案する事ができるのです。」
また、顧客ニーズに沿う形で、リファレンスモデルとして利用する事で、最適のアーキテクチャを選択するのに使われる事もあるそうだ。製品単体の良さと合わせて、今後はDell EMCとしてトータルなソリューションの提供について、HPC分野などの顧客に提供していくとの意気込みが伝わる。EPYC RomeのCPUとしての性能だけでなく、”Rome on Rome”として高い水準での拡張性や高速なインターフェースの刷新がされているアドバンテージが余すこと無く活かされた設計がされた今回の5製品では、GPUを初めとするアクセラレータを使った大規模な数値シミュレーションや、AI学習などの分野などへの導入には現時点で一番適した製品といえるだろう。
加えて、ライフサイエンスやCFDといった構造解析などの用途に応じたハードウエアとミドルウェアが検証された形でセットされたソリューションとしての提供は、HPCを専門としない研究者にとっては、大変ありがたい導入形態となるものだ。グローバルなエリアでソリューションをこれまで提供してきた経験とKnow-Howが揃う事のメリットは大きいといえる。
今回の取材を通して、Dell Technologiesが、ハードウェアを提供するシステムベンダーではなくて、ソリューションという形の提供もしているというメッセージが強く伝わる内容となっていた。今後の”Rome on Rome”の5製品のHPC市場での受け入れ状況について目が離せない。