世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


7月 17, 2013

地図上にリアルタイムの軍事情報を刻むGPU

HPCwire Japan

Nicole Hemsoth

偵察情報、とりわけビデオ、画像、衛星やGISフォーマット(訳者注:GIS – Geographic Information System – 地理情報システム)によるデータは増加する一方なので、政府や軍は処理能力を引き上げ、リアルタイムにまで向上する方策を探求している。

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ビデオ、画像や信号処理を利用者に提供する時、問題の一つはデータ量だ。例えば、2009年に米国空軍は27年間分に及ぶイラクとアフガニスタンに関連するビデオを収集したのだが、分析と処理能力が不十分だったため、使われることはなかった。絶え間なく変化している現在のデータの膨大な容量に対処する必要性に加えて、問題はより複雑になっている。

この問題に面と立ち向かうべく国防方面で考えられている方法の一つは、GPUである。元々ビデオや画像処理用の技術であるし、地理空間を探索・分析する諜報機関にとって共通の需要がある機械学習やパターン認識にも活用できる。ほとんどの場合、計算処理はGPU活用の格好の舞台になる。なぜなら、ほぼすべてが素直な線形方程式で、基本的にはたくさんの行列の掛け算なのだ。このような課題を扱う軍関係者にとって、GPUは画像とビデオの処理で働かせることができ、加えて、データに含まれる機械学習やニューラル・ネットワーク処理を高速化する役割も持つ。

この分野においてGPUを採用する強い動機になっているのは、速度への高い要求だ。つまり、リアルタイムでの結果が求められている。軍の視点に経てば、例えば世界中のGISデータが、現在の地上の状況を反映しているのでない限りは役に立たない。NVIDIA社Tesla部門のGeneral Managerによれば、GIS情報に基づく状況認識プログラムLuciad Lightspeedのような、よく使われる地理空間諜報用アプリケーションにとって、CPUで1回/秒ではなく、GPUを使って100回/秒の結果を見えるのでは、瞬時に現れた脅威を見れる(あるいは見れない)ということになる。

グプタ氏は、国防市場は、特に地理空間諜報分野に関しては、NVIDIA社のニュースの中で一面を飾ったり中心の話題であるということはないが、大量のビデオや画像データからより速く結果を得たいという需要のおかげで、Teslaグループの20%から25%の売り上げをもたらしている。

GPUの巨人は今週、地理空間諜報の世界にGeoIntアクセルレータをベースにしたプラットフォームを提供し、この成長分野に一つの到達点を示した。パッケージ化された形で提供することの目的は、GPU性能の恩恵を被るこの分野専門の開発者や地理空間諜報の分析管のための統合化されたツールを提供することだ。

この業界に(状況認識、衛星画像、標的探索など)多くの枢要なアプリケーションを提供することに加えて、彼らはGPUアクセルレータ・アプリケーションを構築するための数多くの関連ライブラリを一緒に提供してきた。Performance Primitives, MATLAB Imaging Toolkit, CUDA FFT, Accelereyes’ ArrayFireや他のソフトたちだ。

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NVIDIAは、今や多くのチャネルでこの技術を供給している。GE Intelligent PlatformsやCurtis-Wrightへの組み込み型GPUに加え、Dell, HP, IBMなどのパートナーが提供するワークステーションやサーバにも搭載されている。

それらの目的、ソフトウエアや性能に応じて多様な使われ方がある。一般的にいえば、もし利用者がサーバとワークステーション両方に推奨されるコンフィグレーションにこだわるのであれば、フル装備されたワークステーションに$5000ほど、サーバ部品には$10,000か少し下のクラスのものを探せば良い。ただ、リアルタイム性能を目標にするであれば、画像、ビデオや信号処理のために、サーバとワークステーションの両方で使うのは通常のやり方ではないのは、もちろんだ。この場合、リアルアイム性の仕事はワークステーションの方で処理されるべきだ、とグプタ氏は述べる。

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国防関係の地理空間諜報分野で、画像、ビデオや信号処理を高速化するためにGPUを使うユーザとしては、陸軍研究所、BAE Systems、ボーイング、SAIC、NATO、レイセオンなどの組織があげられる。