UK HPCサービス:HECToRからARCHERへ
Tiffany Trader

ARCHERは、英国の学術研究のための次世代のハイパフォーマンスコンピューティング(HPC )国家プロジャクトである。 そしてそれは2007年から開始されたハイエンドコンピューティング・テラスケールリソース( HECTOR )プロジェクトの後継である。
この新しいサービスのためのハードウェアは、CrayのXC30スーパーコンピュータおよびCrayのSonexionストレージシステムから構成されている。それらは、Crayとエディンバラ大学の工学物理科学研究評議会(Engineering and Physical Sciences Research Council :EPSRC)との間の3000万ドルの契約の一部である。
ARCHERのサービスが開始されると、エディンバラ並列コンピューティングセンター(Edinburgh Parallel Computing Centre:EPCC)に関する記事が、利用者のスムーズなサービス間移行をサポートしつつ、HPCサービスの概念から実際までを詳細にリポートしている。
新しいCray XC30システムは、ピーク性能1.56ペタフロップスで、その前身であるHECToR CrayXE6スーパーコンピュータの約4倍の性能を提供できる。この性能向上はIntelの最新Xeon Ivy Bridgeマルチコア・プロセッサと次世代Ariesインターコネクトによるものである。
その記事によると、ARCHERで使用されているIntel Xeonプロセッサーは、クラス最高の浮動小数点演算性能、メモリ帯域幅およびエネルギー効率を誇っている。ARCHERの各ノードは、2.7GHzで動作する12コアのIvy Bridgeマルチコアプロセッサと最小64GBのDDR3メインメモリから構成されている。計算ノードは、Ariesネットワークインタフェースカードを介して相互接続されている。ARCHERはそのような計算ノード3008個で構成される。トータルでコア数は72192となるが16キャビネットに全て収められている。さらにこのシステムには、4.4PBの容量と毎秒100 GB以上の総合持続帯域幅を持つ20台のCray Sonexion ストレージ装置が設置されている。
ARCHERと英国研究データ機構(UK Research Data Facility)との間のネットワーク直接接続により、ユーザーが高性能なスクラッチ領域と長期アーカイブストレージとの間で大規模なデータセットを簡単に転送できるようにしている。また、研究データ機構もHECToRからARCHERへの移行をサポートしている。
ARCHERプロジェクトは、イギリスの科学大臣が4300万ポンドの国立HPC施設の更新を含んだ設備投資イニシアチブを発表した、2011年秋にさかのぼります。ARCHERが収容されることになるエディンバラ大学の先進的計算ファシリティ(Advanced Computing Facility:ACF)の拡長作業は 2012年5月に開始された。
ACFの改修には、500平米のコンピュータルームの拡張および電気および機械システムのための設備スペース760平米の追加が含まれていた。これらの計画は、4MWの容量の高効率冷却システムおよび約7MWの電力供給を行う所内高電圧網への更新に対応するものであった。
この改修プロジェクトは、 2カ月前倒し且つ予算内で2012年末に完了した。 2013年7月には、Crayがこのプロジャクトのハードウェアパートナーである事を発表し、2013年9月には、スーパーコンピュータとストレージシステムが設置された。10月下旬には、受け入れ検査も終わり、11月からコアユーザーが利用を開始した。
ARCHERは12月16日に利用者に対してフルサービスをオープンした。HECToRからARCHERへ割り当て資源を移したい研究者は、ARCHERのヘルプデスクへの連絡が要請されている。
ARCHERを利用したい機関は、プロジェクトのウェブサイトで詳細を参照することができる。HECToRサービスは2014年3月に終了が予定されている。