世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


2月 6, 2014

早期科学アプリケーションでのGPUの速度

HPCwire Japan

Tiffany Trader

研究者が仕事で使うオークリッジリーダーシップコンピューティング施設(OLCF)のTitanスーパーコンピューターは、 従来型CPUと高並列GPUとの組合せによるシステムのハイブリッドデザインで殆ど作られている。アメリカ合衆国で最速のコンピューターとしてTitanは27Petaflopsの最大理論速度を有しているが、最近のOLCFの記事が指摘するよう「Titanは、幾つかの私たち最大の科学的チャレンジを解決するためにその独自アーキテクチャを使うアプリケーションにとってのみ強力です。」

「Titanのようなシステムの実際の測定は、どのようにそれが科学的アプリケーションや重要な科学的な問題の仕事を処理するかです。」とプロジェクトディレクターのBuddy BlandがOLCFで報告する。「Titanの信じ難い力の目的は、科学を発展させ、そしてシステムはすでに重要なアプリケーション領域での能力を示してます。」

数百万ドルのマシンからユーザーが最高の恩恵を引き出すことを支援するために、OLCFは正しいアプリケーションセットを持っていることが不可欠であることを理解している。これを念頭において、彼らはTitanの到着予定の2年前にアクセラレーテッドアプリケーション準備センター(CAAR)を発足した。プログラムは、CrayとNVIDIAからTitanを構築することを支援するスタッフとアプリケーション開発者、そしてOLCFの科学的コンピューティングの専門家が一堂に会した。チームは、Titan上での科学的利益と予測性能、および/または忠実な利益に基づいた6つのターゲットアプリケーションのセットを特定した。これらのアプリケーションコードは、元々CPUベースマシン用に開発されていたため、チームはスケールでのGPUのパワーを完全に活用することが出来るコードに変更する任務を与えられた。目標は、Titanの受け渡し後直ぐに、生産的な仕事が開始可能となることだった。

5つのコードを振い分けた最終的なアプリケーションのセットは次の通り:

  • S3D - 燃焼プロセスの化学乱流相互作用に洞察力を提供。
  • LSM - 磁気構造の熱力学と磁気構造を計算するために使用。
  • LAMMPS - 細胞膜融合などの分子プロセスの理解を提供する評判の分子動力学アプリケーション。
  • Denovo - 原子炉の安全および核犯罪科学のための放射能輸送モデルに使用。
  • CAM-SE - 気候変動の適応と緩和シナリオ; 重大な影響のある地域規模の気候を正確に表現。

OLCFは、Titanのデザインがシミュレーション速度に深遠な影響を持つ。GPUアクセラレータ対応のCray XK7システム上で気候変動アプリケーションのCAM-SEを実行すると、1日のコンピューティングで1〜5年のシミュレーションが可能だが、Titanの前機種Cray XT5、Jaguarでは1日あたりわずか3カ月である。「この速度の増加は、超高解像度、数十年や数世紀にもわたって実現可能な完全な化学シミュレーションを行うために必要であり、そして複数シミュレーションを実行することによって不確実性を定量化することを研究者が可能になります。」とラボの科学記者、Scott Jonesは観測する。

今後、OLCFは、S3Dコードに単純な燃料モデリングを加えることで、より複雑なことが可能となり、巨大分子炭化水素燃料やバイオ燃料、高いエネルギー効率を産み出すの先進的な内燃エンジンのための道を拓くことを期待する。

分子動力学コードLAMMPSもまた、オークリッジのスーパーコンピューター、特にシステムのGPU部分、からの恩恵を受けている。時間を経て原子の動きをシミュレートするコードとしてのLAMMPSは、生物学、材料科学、およびナノテクノロジーの中心的アプリケーションである。GPUがTitanに追加された時、LAMMPSは、初期のCPUだけのバージョンのマシンと比較して7倍の性能を達成した。

WL-LSMと呼ばれる別のCAARアプリケーションもまた、ハイブリッドなTitanスーパーコンピューターのための良い取り合せとなることを証明した。候補となる磁気材料を研究するために使用され、WL-LSMは、CPUのみの前任者よりもGPU対応のTitanは3.8倍速く実行した。実行は、合計18,688台のTitanの計算ノードの内、驚いたことに18,600ノードを使用した。均等さが大事なように、GPU 対応バージョンのTitanでCPUのみのシステムより7.3倍少ないエネルギー使用を達成した。エネルギー消費を削減した高速性能の結果は、これらの2頭だての恩恵がGPUアクセラレーテッドスーパーコンピューティングへ移行するための主な動機付けとして引き合いにだされたことで大きな勝利と考えられた。

OLCFは、CAARアプリケーションのすべてがTitanのGPUを使用して大幅な速度向上が見られることを報告する。Titanのユーザーの残りのとして、Titanの大規模なコアを使用するための彼らのコードの準備プロセスを開始し、CAARによって設立されたガイドラインと実践を彼らが頼りにすることが出来る。