若手HPC研究者がグローバルなステージへ
Nicole Hemsoth

もっと注目せざるにいられないHPCコミュニティを中心とする問題のひとつは、いかに若い研究者の中でスーパーコンピューティングへの関心をつかみ、維持するかだ。巨大なデータセンターとプログラム・ニーズのある大企業では多くの機会があるので、若い才能に執着する研究センターにはこれは難しいかもしれない。
若い人達からの多くの関心を示すために、ドイツ・ライブチヒの「International Supercomputing Conference」においてこの夏、特別セグメントがハイパフォーマンス・コンピューティングの若い研究者のために開催される。会議の主催者は、世界中から3名の若手研究者の研究を紹介することで、新興の研究者に何が起こっているかの関心を高めようとしている。(さらに、クラスタ・コンテストやチュートリアル、および若手研究者のための他のリソース周りのアクティビティでも)
次のHPC研究者の波をプレゼンするために選ばれた中で、ローレンスリバモア国立研究所・環境開発グループの計算科学者、Ian Karlin博士は、経歴の初期の段階で線形代数計算用のメモリシステムを作っていた。しかし今はLLNLにいる。彼は大規模マルチフィジックス・コードにおける未来のコンピューティングへの挑戦への戦略に焦点をあて続けている。
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Karlinの話は、多くの心に今でも新鮮であり、特に次の新しいリリースであるTOP500リストの話題に焦点をあてるだろう。-FLOPSと帯域を計測するのはどちらが価値があるかという問題 - もしくは要するに新しいベンチマーク・パラダイムが必要かどうかだ。Karilinが述べるように、HPCアプリケーションの性能ボトルネックは新しいシステム技術と共に変わり続ける。「インプリシット・コードにおいては、FLOPSが最初の性能ボトルネックでしたが、最近ではメモリ帯域が性能を制限しています。しかし、多くのコードがPDEを解き、エネルギー輸送のために他の方法を使っています。モンテカルロや明示的流体力学のようなこれらの方法は、線形代数ベースのアプリケーションと異なる性能ボトルネックを持っているのです。」
Karlinは、汎用エクサスケールHPCシステムでバランスをとる必要がある方向性を設計する多くのマシンのデータをプレゼンする予定だ。彼はまた、システム設計においてメモリ遅延をさらに強く考慮する必要があり、たとえ現代のシステムにおける帯域の制約が解決されたとしても、現在のHPCマイクロプロセッサの演算能力のバランスは、浮動小数点能力で制限されているため、多くの現代のアプリケーションにおいてそれを不可能にしていることを示す計画だ。
より大規模なシステムの能力に遅れないテーマにおいて、もう一人の若手研究者である東北大学の滝沢寛之は、大規模システムの変化へのHPCアプリケーションの進化的対応の概要を提案する。-アプリケーションがエクサスケール時代への準備をする重要な話題
滝沢は、アプリケーションは新しいアーキテクチャやシステム能力に合うように常には変化することができないため、もっとダイナミックにソフトウェアが発展することを支援する系統的な方法が必要であると何度も繰り返して主張している。このために彼は、システム特有のアプリケーション最適化と、アプリケーションにもっと広く役立ち、もっと自然にシステムの拡張と共に発展できることを分離することを提唱している。-対して、常に最新のアーキテクチャを「キャッチアップする」ゲームを演じている。
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若手HPC研究者のラインアップにさらに加えて、ドレスデン工科大学のマリー•キュリーポスドク・フェローであるJens Zumbrägelは、彼の研究を暗号研究の枠内の実用的な文脈に置いている。彼は最も有名な暗号化システムの数値理論課題のひとつである、離散対数問題における研究をプレゼンする予定だ。彼は、それが最初にセキュリティと暗号化の最前線に現れてから、ほとんど技術革新がなかったことを指摘して、過去20年間以上に渡ってこの領域で行ってきた研究を強調する予定である。Zumbrägelは、この問題に取り組むいくつかの新しい方法が、いかに解読記録の演算を著しく進展させたかを述べるだろう。
これら3人が登壇するセッションは月曜日に行われる。-我々は3人すべてをイベントのライブカバレッジでフォローしていく。このコミュニティが彼らの研究について最も注目されることを見つける質問は何だろうか?