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7月 30, 2021

シミュレーションが示したアスリートが直面する東京大会の危険な状況:ランナーは「限界温」である体温39度を超える気温リスクにさらされている

HPCwire Japan

新しく行ったシミュレーションで、国立競技場における気温と湿度によってアスリートが危険な状況にあることが示された。アスリートは記録上最も暑い大会での熱中症、脱水症状、極度の疲労というリスクに直面している。

エアバス、トヨタ、サムスンといった名だたる企業が活用するシミュレーションソフトウェアを開発しているHexagon Manufacturing Intelligence 事業部のエンジニアが、陸上男子10,000m(競技場内トラックレースで最長距離)における気温と湿度の影響をシミュレーションした。競技がスタートするのは日没後(7月30日の午後8:30)であるにもかかわらず、アスリートが置かれる状況は過酷であるとシミュレーションは示している。

シミュレーションでは日本の7月の平均である気温27度、湿度70%未満でも10,000mのランナーの中核体温は39度を超える(39.07度)ことがあると示されている。体温が38度を超えると発熱と判断され、人体の生化学反応が最適に機能するためには中核体温は35度から39度の間に保たれる必要があるとの研究結果が出ている。人が「体感」温度(個人が感じる温度)32.2度を超える状況にさらされた場合、熱中症・熱けいれん・極度の熱疲労を引き起こすリスクがある。


ソース:エムエスシーソフトウェア株式会社