米国はスーパーコンピューティングとエクサスケールで転落しているのか?
John Russell

米国の競争力におけるスーパーコンピューティングの重要性について異議を唱えるものはほとんどいない。現在の政府の取り組みがどうかに関する議論は – 主に米国エネルギー省(DOE)内の先端科学計算研究(ASCR)プログラムを通して – 効果的かつ十分であるか、もしくは無駄で過大だ。
先日、米国下院公聴会(エネルギーに関する小委員会 – スーパーコンピューティングとアメリカの技術リーダーシップ)におけるHPC専門家が証言したパネルが、米国のスーパーコンピュータ研究支出の減少が米国のコンピュータと競争性のリーダーシップを危険にさらしていると主張した。
「前世紀においては、連邦政府は財政的に国家の研究開発活動の3分の2を支援してきましたが、それは徐々に3分の1に減少しました。一方、産業界は3分の1から約3分の2まで増加させています。問題はそこで、早急なリターンを求める金融市場の圧力のために、産業界の大部分は”R”でなく、”D”に集中しています。」とパネリストであるロッキードマーチン社の元会長でCEOのNorman Augustineは述べた。
「結果として、国家の研究投資の間違いなく最も重要な指標であるGDPに対する研究資金の割合において、合衆国は最近世界1位から7位に低下しました。研究に対するアメリカの負の投資の程度は、政府が資金提供する研究の割合において、アメリカは今や先進国中29位なのです。およそ5年以内に、中国はGDPに対する研究資金提供の割合と絶対資金提供額の両方において米国を上回るだろうと予測されています。」と、Augustineは語った。
米国エネルギー省は国全体に配置する17の研究所を運営しており、主にエネルギー研究と国家の核抑止力を支える武器の提供にフォーカスした取り組みを行っている。2015年度のASCARに対する予算は5.41億ドルである。
DOEの研究所は比較的安定した資金を得ており、「最初は明白でないかもしれない適応性を持った、長期的、ハイリスク/ハイペイオフな、大型のプロジェクト」に適しているとAugustineは主張している。彼は、商用核融合とシェールガスを生成する水圧破砕のような研究への支援が取り組みの2つの例であると引用している。
HPCコミュニティにとっては、これらは御馴染みの議論で、他のパネリストと共有された:
- DOE先端科学計算諮問委員会議長で、電気コンピュータ工学科教授のRoscoe Giles博士
- IBM、テクニカルコンピューティングの副社長、David Turek
- 応用数理学会のエグゼクティブディレクター、James Crowley博士
ボストンが雪でフライトが制限されており、この公聴会に参加するのはパネリストの一人(Giles博士)にとっては挑戦であった。彼はビデオ会議で参加した。
HPCコミュニティにとって実際的に重要なことは、緩慢な政府の資金提供を聞き出すことだ。エネルギー小委員会の委員長であるRandy Weber(共和党、テキサス)はASCRの強い支持に関する声明を出した:
「私達はワシントンで進行中の予算圧縮の現実に直面していますが、納税者のお金が国益である革新的な研究に賢明に費やされ、広範なインパクトと長期の成功の最善の機会をもたらすことを確保することが議会における私達の仕事であります。ASCRプログラムで実施されている基礎研究は、明らかにこの必要条件を満たしています。ハイパフォーマンスコンピューティングは、すべての科学研究におけるブレークスルーのためのプラットフォームを提供し、私達の経済全体において科学的ブレークスルーのアプリケーションを高速化するのです。」
少なくとも資金提供の議論と同じくらい興味深いのは、スーパーコンピューティングにおけるコデザイン原理(アルゴリズム、ソフトウェア、ハードウェアを同時に開発する)の重要性、シリコンの基本的な限界を超えるかどうかの懸念、そしてエクサスケール・コンピューティング・システムを達成する上で直面する困難、などを含んだ主要な技術課題に関する議論だ。
技術移転は引用されたもうひとつの懸念であった。国のスーパーコンピューティングセンターから、アプリケーションや技術を主流に移動させるのは挑戦的である。国の研究所は、より広い商用のHPC市場よりも5年から7年先を行っているという今日の一般的な法則をTurekは特筆している。産学共同研究を難しくする利害対立問題を避けながら、いかに技術移転を加速させるかという自分達の考えにパネリスト達は押された。
全体的に、完全に不慣れでない場合、興味深い会話があった。この会議の目的のひとつは、昨年下院を通過し、上院で否決された議案に関する関心を取り戻すことだったと、Giles博士は述べた。小委員会のメンバーであるRandy Hultgren(共和党、イリノイ州)は法案 H.R.2495 (IH) – アメリカのスーパーコンピューティングのリーダーシップに関する法律を提案したが、最終的に上院で否決された。Giles博士はこの法案の顧問であった。
この法案のいくつかの重要なポイントは次の通りだ。
「….2004年のエネルギー省ハイエンドコンピューティング再生法に対し、次に関して改正する:(1) エクサスケールコンピューティング(毎秒10の18乗回もしくはそれに近い浮動小数点演算性能を持ったコンピューティングシステム)および(2) 先端科学およびエンジニアリングアプリケーションに一般的に利用可能なシステムを十分に上回る性能を持ったハイエンドコンピューティングシステム。
エネルギー(DOE)長官に指示する:
(1) DOE全体でのハイエンドコンピューティングシステムの開発を調整する
(2) 大学、国立研究所および産業界と連携し、このプログラムで開発された科学、工学、医学、および産業界における他の課題に対する技術の最も広範な適用可能性を確保する
(3) DOEの判断で、電力要件の大幅な削減とマルチコアプロセッサの並列性、並列処理、メモリ、ストレージ、帯域幅および信頼性の大幅な増加の見込みを示すいかなるコンピュータ技術を研究した複数のアーキテクチャを含むこと」 法案のサマリーは下院ライブラリをクリック。
このセッションのビデオ資料が利用可能で、パネリスト直筆の声明文のコピーがある。小委員会のメンバーは、委員長Randy Weber (共和党、テキサス「)、Dana Rohrabacher (共和党、カリフォルニア.)、 Randy Neugebauer (共和党、テキサス)、Mo Brooks (共和党、アラバマ)、Randy Hultgren (共和党、イリノイ)だ。