世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


3月 4, 2015

Horst Simon、HPCのスローダウンを語る

HPCwire Japan

Tiffany Trader

2月10日にサンフランシスコすで行われたHPCの会合で、バークレー研究所の副ディレクターのHorst Simonは、ムーアの法則や並列処理は、過去60年間ハイパフォーマンスコンピューティングを推進してきた指数関数的成長を提供する上ではもはや関係がなくなるという論拠を述べている。

もし本当にムーアの法則が終わりに近づいているとするなら、新しいアーキテクチャや新しい技術の必要性があるだろうと、彼はポストCMOS空間や、量子コンピューティングやニューロコンピューティング(脳のような)のような非フォンノイマン型等の例を引用して言っている。

Horstは、TOP500のメトリックや他のデータを使ってムーアの法則が蒸気を失っているという彼の主張を数値的に証拠付けている。

TOP500を使った予測性能発展のスライドを見ると、エクサフロップス・システムが2020年に登場してくることが明白であるが、これは間違いかもしれない、とHorstは言う。

「もしハイパフォーマンス・コンピューティングのことを全く知らないとしても、これらの仮定を実現することについて非常に懸念すべきです」と彼は付け加え、「それは、ここでやっている事が片対数スケールでの推定だからです。さらに、指数関数的に成長するデータを扱う場合には常に、初期の非常に小さい摂動が最後には大きな変動になることがあるのです。」

Horstはこの2つの摂動の識別を続けている。グラフに焦点を定めることで、特に時間におけるFLOPSの合計を示している線では、2008年6月にこの指数関数的傾斜を平準化させる何かが起きているということを見る事ができる。類似したブレークポイントが2013年6月にも現れている。

これは、この5年間のスパンがムーアの法則と並列処理に起因する成長がもはやここには無いというターニングポイントを印付けているという結論をHorstにもたらしている。これは、上位10マシンにおいて、このグループが仮想的に2年間変化が無いままに、入れ替えが無いことが続いた場合に起こる。

オークリッジ、アルゴンヌおよびローレンスリバモアの共同研究で3台の150ペタフロップスシステムに資金提供する注目すべきCORALの発表でさえ、スローダウンのマーカーとして見る事ができる。これらのマシンはアメリカを2020年のエクサスケール・タイムラインに登場させるように既に実装されなければならなかっただろう、しかしまだ2、3年後の話だ、とHorstは言う。

Horstは、世界同時不況に伴う投資の欠如、および主要ベンダーの参画の欠如など、停滞の可能性のある理由のいくつかに対処を続けている。また、データのボトルネックや電力制約を克服するような、エクサスケールに関連する険しい技術的な課題もある。しかし最終的には、性能の低下は主にムーアの法則の限界によるものだとHorstは主張している。

HPCが現在革新のドライバーとして世界中で成功しているが、それがすべての運命と暗がりではない。直ぐに行動したとしても、ハイレベルなスーパーコンピューティングはもはや一つや二つの国家の範囲のものでなく、エクサスケール・システムがほとんどの目標とされる資金調達の確約をするものである最初ものではないのだ。

「我々とエクサスケールマシンの間に立っている唯一のものはたくさんのお金です – 十億ドルの投資と恐らく年間5千万から1億ドルの電気料金です。」と、Horstは言っている。