数学とスーパーコンピュータ
Tiffany Trader

2011年8月からComputational Research Division at Lawrence Berkely National Laboratoryのディレクターを務めているデイビッド・ブラウン氏は、「five-question」と題した短い会見をウェブサイトで公開した。
1982年にブラウン氏がカリフォルニア工科大学から応用数学の博士号を授与され、ロスアラモス国立研究所で博士研究員に就いた際には、2年間の任期を過ごしてからどこかで教職を引き受けるつもりだった。しかし、2年間の計画は、31年間に渡るUS Department of Energy (DOE)の最高の計画になったのである。そのうち、14年間はロスアラモス国立研究所、13年間はローレンス・リバモア研究所であった。
ブラウン氏によると、彼の数学と科学の能力を研究所とDOE全体に渡る新しい研究開発に役立てたいと研究室に働きかけ、この分野に関するブラウン氏の情熱は、バークレー研究室での応用数学の広範囲な研究プログラムの基礎を築いた。
数学は科学の言語であり、この言語を使って科学をコンピュータに載せられるということだ。この段階から、DOEが数学研究へ投資するようになるのは、大きなジャンプではなかった。
新しくより良い数学理論、モデリング、アルゴリズムによって、物理的あるいは工学的システムのモデル化と分析が可能になる。と、ブラウン氏は注釈した。しばしば、数学は非常に難しい問題をコンピュータで扱いやすくするために使われる。
ブラウン氏は、30年前の顕著な例に言及した。数学者ジェームズ・セシアンの業績は、燃焼シミュレーション技術を進歩させる基盤となった。その発見は、燃焼から天体物理学までの全てに渡る気体の流れを計算する、最新のスーパーコンピュータ用コードにつながっている。
数学がどのようにスーパーコンピューターに役立つのか、ブラウン氏は答える。
スーパーコンピュータ上で動く大規模アプリケーションの性能は、コンピュータの進歩だけでなく、同じくらい、数学モデルとアルゴリズムの進歩によって増大する。実際に、これらのよりよいモデルによる多くの科学アプリケーションの性能向上は、ムーアの法則によるハードウェアの性能向上を上回った。ムーアの法則は、18カ月ごとに性能が2倍になるとやや印象的すぎる説明をする。これらの性能向上によって、科学者は、より効果的にスーパーコンピュータを使い、より詳細な問題を調査できるようになる。
熟練した応用数学者ブラウン氏は、偏微分方程式(PDE)を解くために、アルゴルズムの開発と分析に興味を持っている。2001年に、ブラウン氏が導いた「Overture」プロジェクトは、DOEによる過去25年間の100の重要な業績のひとつに選ばれた。