世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


7月 8, 2015

ISCセッションプレビュー:ポストペタスケール時代のI/O

HPCwire Japan

Nages Sieslack

HPCにおけるデータ通信性能を向上することは、システム設計者にとって最も困難な課題のひとつであることが分かった。結論として、この話題は世界中のアカデミアの研究者達の多くの関心を呼んでいる。いくつかの研究は今年ドイツのフランクフルトで行われるISC High Peformance conferenceにおいて発表があり、ハイデルベルク大学のHolger Fröning教授が将来のハイパフォーマンス・ネットワークとインターコネクトというセッションを主宰する。我々は最近Fröningと会い、期待できるイノベーションの種類と、それらがPCIeやイーサネットのような今の技術に適合していくのかについて尋ねた。

ISC:より高速なデータ移動を提供することは多くのHPCアプリケーションにとって中心的な課題として浮上してきています。どのようにコンピュータ・アーキテクチャは適応していくのでしょうか?

Holger Fröning:データ移動はエネルギーと時間に関して非常に重要で、すでに多くの時間、連続的に観測が行われています。この問題を克服する技術ソリューションはいくつか存在し、おそらく光伝送が唯一(実行可能な)のソリューションでしょう。このようなアプローチが平均通信長を減少させ、したがって伝送時間とエネルギーにおけるインパクトを減少させるように、コンピュータ・アーキテクチャは緊密に結合することでこの問題を軽減しようとしています。同時に、アプリケーションはできるだけ通信量を減らすために、局所性を最適化しなくてはなりません。CUDAやOpenCLのようなコンセプトはこれを育成しており、プログラムが明示的に局所性を指定する必要があります。最後に、この課題はコンピュータ・アーキテクチャだけでなく、すべてのレベルでの最適化を必要とします。

ISC:オンチップおよびオフチップのデータのボトルネックについては、どのくらい進展していますか?何が最も有望なアプローチだと思いますか?

Fröning:私は昨年の電気伝送、特に等化技術に関する進展にまだ驚いています。この10年間でここまで進む事は予測していませんでした。同時に、電気伝送の有効最大長は減少を続け、光伝送の事例を強固にしています。しかし、このような技術にしても、電気シリアル化が必須であり、私達は光伝送がエネルギーの節約に関連するかどうか、もしくは支配する電気光変換がエネルギー増加に関連するかどうかを確認する必要があるのです。

ISC:ヘテロなアーキテクチャがインターコネクトの設計にどのように影響を与えますか?

Fröning:これは非常に興味深い問題であり、直接、ハイデルベルク大学での私のグループの主な研究の焦点になっています。重大な影響はありますが、もちろんスイッチやリンクの設計は、これらはパケットしか見ていませんので、関係がありません。しかし、この3年間の私達の研究では、専用プロセッサは最大性能とエネルギー効率のために、専用の通信モデルと方法が必要なことを示しています。ネットワーク・インタフェースは、トラフィックを送信し受信するプロセッサ・タイプを認識し、そして最善の方法でこのプロセッサとの対話を処理する正しいインタフェースを提供しなければなりません。そして、集団通信に向かってこの探求を拡大する場合、もちろんスイッチの設計が必要になってきます。私達は、これがどのようにヘテロと関係するのか探求しなくてはならないのです。

ISC:より性能の良いインターコネクトは多くの場合多くの電力を消費します。このスピードとエネルギー効率の両方の地平線上にある技術のタイプは何でしょうか?

Fröning:私は光伝送以外に良い候補は見つかりません。効率的な電気伝送のために長さを縮める現在の傾向は続くでしょうし、ラック内でさえまもなく、性能、エネルギーおよびおそらくコストの面で、コモディティの光ソリューションの事例がおきるでしょう。これは、FR-4のような標準ボード材料を、扱うのが全く厄介で製造に関しては高価である高周波材料に交換する必要があるような時に特に当てはまります。

ISC:PCIeやイーサネットのような業界標準のインターコネクトは将来どのようになっていくのでしょうか?

Fröning:私達は巨大な技術多様性の時代にいます。
クラスタと私が欲しいような、良く言えば私のアプリケーションが欲しがるような他のコンピューティング・システムと組み合わせる多くの可能性を覚えることはできません。それを考えると、これらの異なる部品を接続する業界標準に依存することは必須です。PCIeは明らかにソリューションの一部と見えますし、専用のソリューションと完成させることができるかもしれません。イーサネットは、例えそれが単なる制御や監視目的だとしても、ほとんどどのコンピューティング・システムの一部です。しかし、それは低コストのソリューションのための主な選択肢であるにも関わらず、私の意見では、マス市場向けに最適化されており、HPCとその特別な要求について話す時に、結果としてあまりにも多くの妥協があるのです。