世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


8月 6, 2015

IDC第1四半期レポート、レノボは好調、IBM は低調

HPCwire Japan

John Russell

IDCは世界のテクニカル・サーバ市場が対前年比で10パーセント以上で成長しており、2014年第一四半期に対して2015年第一四半期は25億ドル以上であったと報告している。今回IBMが2位から遠く4位に落ちた一方で、HPおよびデルについで3位に飛び出したレノボにとっての良いニュースがあった。驚く事ではないが、IBMのx86事業の売却の波紋がまだサーバ市場を押しているのだ。

IDCのハイパフォーマンス・コンピューティング・グループのリサーチ副社長であるBob SorensenがHPCwireに語ったところによると、「x86ベースがHPCサーバの売上の80%以上を占めることが続きますが、OpenPOWERファウンデーションの主要な勝利が、最近のDOE CORAL獲得におけるIBM Powerの成功の動きを築き、長年のインテルのx86市場独占に凹みを作れると、IDCは予想しています。

IDCが最近公開した世界のハイパフォーマンス・テクニカル・サーバ QViewレポートにはいろいろな発見がある。IDCによるとレノボは、以前のIBM x86顧客の維持ばかりでなく、米国のエンタープライズ・コンピューティング市場と中国における独自の強い成長で予測よりも良くやっている。IBMにとっては、このヒットは予期しておらず、IDCが指摘したように、IBM Powerシステム事業は成長の動きを持っている。

チップメーカーが直面しているひとつの課題は、テクニカル・コンピューティングとビッグデータの性能要件をブリッジする必要があることだ。

「HPC部門は現在いくぶん異なった指導者に仕えようとしています;従来の高FLOPS数が王者である演算中心モデルとシミュレーション分野、そして効率的で効果的なデータ転送(演算の能力でなく)が重要な性能指標として考慮される急速に成長しているHPDA(ハイパフォーマンス・データ)分野です。」とSorensenは語った。

「今後成功したいどのチップベンダー(もしくはベンダー・コンソーシアム)も、両分野の明確な性能要件に対応する困難な課題に今後直面するでしょう。」と彼は強調した。

IDCは何にでも合うHPDAアーキテクチャは存在せず、HPDA設計者はHPDAシステムの柔軟性に向けた目を持って設計する必要があると考えている。「HPDAシステムのひとつの使用事例が、既存のCOTS(既製品)や特定のワークロードやアプリケーション用の関連するHPCサブコンポーネントから直ぐに集めることができるような、完全にサポートされて緊密に統合されたエコシステムの中で彼らは線引きと設計を行う必要があるのです。」

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Sorensenはまた、ARMベースのオプションを提供することで製品を差別化しようとしている供給業者による初期の傾向を指摘している:「最初の利益は小さいですが、将来の可能性はARMチップ用にこれまで制限されたHPCソフトウェア・エコシステムの開発に重く依存しています。私達は、当初は国内のHPCへの参入を目的としてプロセッサを構築しているが、長期的な見通しでは海外市場にチップを販売すると見ている、日本および(より顕著に積極的に)中国における国産プロセッサ開発の動きを密に見ています。進展はゆっくりとしていますが、重要なフィットや始まりが無かったわけではありません。」とSorensenは語った。

IDC QViewレポートよると、中国のサーバとチップメーカーの台頭もまた成長するテーマである。ここに簡単な抜粋がある:

「中国市場においては、中国のテクニカル・サーバ・ベンダーは米国や日本からの競合に対しての動きをしているように見えます。レノボの爆発的な成長(基本的には、IBM x86顧客を維持する会社の能力の強い反映)については、もうひとつの中国のテクニカルサーバのサプライヤーであるSugon(曙光)が2015年第一四半期の対前年比において60%以上の増加しています。」

「Sugon(曙光)は現在は中国市場中心の販売を行っており、レノボのたった7分の一の規模ですが、その全体の成長率は他のほとんどの競合を上回っています。レノボは、世界のIBM x86サーバ事業のいくつかを失いますがが、中国において増加する事業での埋め合わせを予測していると、公式に語っています。しかしレノボは、HPCのための欧州テクノロジー・プラットフォーム(ETP4HPC)に加入したり、ドイツのシュツットガルトに欧州HPCイノベーションセンターを設立したり、欧州ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)市場への進出を強化しているのです。」

Sorensenはさらに次のように指摘している「テレコム機器やスマートフォンの販売で、総売上の75パーセントを海外で稼いでいる中国のテレコムの巨人であるHuaweiもまた、サーバの販売を世界中に拡大するために十分な位置付けを持っています。これらに加えて、いくつかの他の中国サーバ・ベンダーは大規模な中国のデータセンターの最近の動きから利益を得るでしょうし、クラウドサービスのプロバイダーはその存在を海外にまで拡大しようとしているのです。」

一例を上げると:「数か月前、中国のアリババ (オンライピンショッピングで世界で最も支持されており、取引数はeBayとAmazon.comを足したものよりも多い)は、大きなグローバル化の推進の一部として、シリコンバレーに初の海外クラウドデータセンターを開設する準備をしていると発表しました。中国のサーバベンダーがこのセンターを埋める主なハードウェア技術のサプライヤーとなるでしょうし、他の中国のデータセンターも国際的に拡大しています。」とSorensenは語った。

一般的に先を見てみるとIDCは、より小規模でより差別化されたテクニカルサーバのサプライヤー – NEC、クレイ、SGI、富士通、日立、T-PlatformsやAtos-Bullのような – における、より独自でカスタムな技術を使った比較的高コストで高性能なシステムを利用して、効率的に開発と競合するために継続的成長を予測している。IDCはまた、ホワイトボックスのサプライヤーが2015年第一四半期において26%上昇しており、ただ単に安いだけでなく、メジャーなブランドのテクニカルサーバ・ベンダーをターゲットにしてきているようだ、と指摘している。

IDCは先月ドイツ、フランフルトにおける定例のIDCブレックファーストで最新のHPC市場アップデートを発表した。世界のハイパフォーマンス・テクニカル・サーバQViewインサイト・レポートは次のURLから。https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=IDC_P225