世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


9月 9, 2015

サイバーインフラストラクチャを理解する

HPCwire Japan

Jan Zverina, San Diego Supercomputer Center, University of California, San Diego

リファレンス・アーキテクチャがコンピューティング・サイバーインフラストラクチャと科学の理解を助ける、とNSFのJim KuroseがXSEDE15の参加者に述べた。

サイバーインフラストラクチャ。科学研究コミュニティと一般大衆の両方の中に混乱を引き起こしそうなひとつの言葉があるとすれば、おそらくこれだろう。しかし、サイバーインフラストラクチャの概念は、国家のトップの科学研究の優先順位中で核心部分であり、全米科学財団が国中の研究者にサイバーインフラストラクチャのリソースを利用できるように継続的にしっかりと取り組んでいる。

その言葉がしばしば、全米科学財団のコンピュータ・情報科学・エンジニアリング(CISE)部門のアシスタント・ディレクターであるJim Kuroseが科学や工学分野の研究者にとってでさえ「混乱する」用語と説明している。統合されたリソース、および現代の研究者が自分の専門分野の境界を推進するための手段として、サイバーインフラストラクチャに利益があることに間違いはないと彼は語る。

「多く計算を行う国家的研究の優先順位を推進する本当に大きな管理体制があります。」と、7月にミズーリ州セントルイスで開催された2015 eXtreme Science and Engineering Discovery Environment (XSEDE)会議においてKuroseは参加者に話した。「我々はビッグデータ・イニシアティブ国家ロボットイニシアティブ、そしてBRAINイニシアティブを持っており、すべてにおいてサイバーインフラストラクチャが重要な役割を演じています。また、セキュアなサイバースペース、教育、および人員開発もあります。これらはコンピューティングとサイバーインフラストラクチャが中心で関与しているものです。」

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Jim Kurose、全米科学財団(NSF)コンピュータ・情報科学・エンジニアリング(CISE)のアシスタント・ディレクター

NSFはサイバーインフラストラクチャを、研究者が技術革新をして他では不可能なような発見をすることができるように、すべてが高速ネットワークでリンクされた高度なコンピューティング・システム、データ、ソフトウェア、そしてもっとも重要なのは人々から構成されている動的なエコシステムと定義している。2013年の初めにNSFで現在の仕事を始めたKuroseは、科学的発見への道筋というだけでなく、国家経済の推進と、高度な製造、可視化、創薬、そして個別化医療のような主要分野でのグローバルな競争力を支援するように、サイバーインフラストラクチャ全体を観察するために財団の必要性があると考えている。

「明らかに、我々は本当に’大きな鉄の塊主義’であることから、データ、ネットワークそしてまたセキュリティやソフトウェアを心配するように進化してきました。」とKuroseはXSEDEの参加者に話した。「コンピューティンスだけでなくサイバーインフラストラクチャの中で産業、連邦政府、そしてアカデミアの間でのこの重要な相互作用の考えがあるのです。」

このような共同サイバーインフラストラクチャはすでに研究のフロンティアを変革しているとKuroseは、EarthCube研究データ連盟大型シノプティック・サーベイ望遠鏡(LSST)プロジェクトのような例を挙げて述べた。

自分自身をローリング

Kuroseによると課題は、科学者が既にあるサイバーインフラストラクチャのリソースを活用するための方法を作ることであり、解決策のひとつは彼がリファレンス・アーキテクチャもしくはモデルと呼んでいるものだ。

「リファレンス・モデルは、あなたが何をしているのか他の人に話すことで、彼らがあなたがしている事の大きな構図の中での自分達の場所を見る事ができるというのがすべてです。」と彼は述べた。そうでなければ、サイバーインフラストラクチャは研究者ばかりでなく、研究コミュニティの内外の意思決定者を混乱させることになると、彼は指摘している。

「リファレレンス・アーキテクチャの概念は、この大きな構図の中のどこにフィットすることができるのか、彼らはどこで自分達だけで仕事をしなければならなさそうか、そして彼らはどこで彼らの前に誰かが行った事を再利用できるのか科学者を理解させることで、科学を加速するための方法です。」とKuroseは「これが非常にボトムアップなプロセスであることは理解しています。」と付け加えながら語った。

「全米科学財団において我々は、財団全体で何をやっているのか、そしてサイバーインフラストラクチャを利用したい人々が自分自身を転がさないようにどのサイバーインフラストラクチャが存在しているのか、これらのリファレンス・アーキテクチャについて検討すべきです。」と彼は語った。「ある程度の専門化が必要かもしれませんしXSEDEのようなコミュニティがすでに行った取り組みを活用できるように、何がすでに利用可能かしっておく必要があります。」

Kuroseは、NSFによる5年で1億2千百万ドルのプロジェクトの結果であるXSEDEの組織による教育、アウトリーチ、そしてトレーニングを含む様々なプログラムを介したサイバーインフラストラクチャの推進による科学の発展の中での取り組みを賞賛した。

「XSEDEが果たしていることは本当に顕著なことであり、そのエコシステムは非並列なのです。」とKuroseは語った。「ここでの目標はサイバーインフラストラクチャを科学コミュニティに利用できるようにすることで、XSEDEは、キャンパスのチャンピオンや学生を含むトレンチの中の人が取り組むためのコミュニティ・イベントなのです。」

Kuroseはまた、XSEDEのリソースや専門知識への研究者の要望が増加する一方で、ソーシャル、行動学、経済科学などの研究を達成するための手段としてサイバーインフラストラクチャを利用することが指数関数的に成長している分野を含め、要望のタイプの分布も同様に変化している、と指摘している。「これは、あなた方が国に使えるようにしているタイプのサイバーインフラストラクチャの成功のすべての尺度なのです。」

CISEとNSF全体の今後の課題を議論する中で、Kuroseは持続可能性こそが議論の中の不変の対象であると述べた。

「我々は日常的にこれを議論しています。」と彼は言う。「」
これは人々と共にソフトウェアおよびハードウェアをやらなくてはならない持続可能性です。これらはすべて異なる持続可能性のライフサイクルを持っており、変化と技術革新を同時に許容しながら、ある種の安定性を提供するために投資を行うべき正しいタイムフレームについて真剣に考える必要があるのです。