アリババ、欧米の技術からシフトする中、RISC-VチップC930を発売
Drew Jolly オリジナル記事「Alibaba Launches C930 RISC-V Chip Amid Shift from Western Tech」

サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙の報道によると、アリババ・グループ・ホールディングの研究部門であるDamo Academyは、初のサーバクラスの中央処理装置(CPU)を発表した。* サーバクラスのハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)向けに設計されたこの新しいチップ、C930は、アリババのXuanTie RISC-Vプロセッサシリーズの最新製品である。
北京で開催された会議で、Damoは3月にチップを顧客に出荷することを明らかにした。C930は、米国による先進チップの輸出規制が続くなか、半導体開発における中国の自給率強化を目指すアリババの最新の取り組みである。同社は、インテルやアームなどの欧米企業による独自設計の代替として中国で注目を集めているオープンソースのRISC-Vアーキテクチャを軸に、独自のエコシステムを構築している。
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アリババのDamo Academyは、展示会で目立つ看板を掲げて紹介された。(写真:Weibo) | |
Damoはまた、XuanTieシリーズの追加チップの開発計画も発表した。その中には、AIアクセラレーション用のC908X、車載アプリケーション用のR908A、高速インターコネクト用のXL200などが含まれる。
アリババの半導体への取り組みは、先進的なチップ技術を巡る地政学的な緊張が高まる中で行われている。2024年、ワシントンD.C.に拠点を置くシンクタンク、ジャメスタウン財団は、米国の制裁を回避するための戦略的動きとして、中国がRISC-Vへの投資を拡大していることを概説した報告書を発表した。
同様に、12月に発表された米国国防総省の報告書では、外国の技術への依存度を低減しながら、軍事と民間の技術進歩の統合を促進するという、より広範な中国の取り組みが詳細に説明されている。
ここ数か月の間にも、中国によるRISC-V開発への取り組みは明らかになっている。昨年8月には、研究者たちが新しい高性能RISC-Vチップの設計とソフトウェア開発の詳細を説明し、欧米の半導体エコシステムに代わる競争力のある代替手段を構築するという同国の野望を強調した。
一方、エヌビディアなどの米国のチップメーカーは、輸出規制に準拠するよう設計を変更した上で、中国へのAIチップの供給を継続するための回避策を模索している。一般的に、アリババによるRISC-Vへの投資拡大は、世界的な半導体サプライチェーンに影響を及ぼす地政学的な圧力に対応するため、自国で代替品を開発するという中国のより広範な産業戦略に沿ったものである。
この新チップの発表は、同社が今後3年間でAIとクラウドインフラに3800億元(約520億ドル)を投資すると発表した直後のことである。すでに中国最大のクラウドプロバイダーであるアリババは、特にDeepSeekのような地元のスタートアップ企業がコスト効率の高い高性能モデルで注目を集める中、AI駆動型アプリケーションに対する高まる需要をサポートする能力の拡大を目指している。今回の投資により、中国国内でデータセンターの追加建設やAIチップの普及がさらに進むことが期待される。
サウスチャイナ・モーニング・ポストは、他の中国企業もRISC-Vチップの開発を進めていると指摘している。中国科学院の研究チームは最近、RISC-VベースのXiangShan CPUを今年中に提供すると発表した。さらに、同チームはXiangShanチップをDeepSeek-R1に対応するように修正したと報告している。
*アリババは2016年よりサウスチャイナ・モーニング・ポストを所有している。