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11月 25, 2015

4回目のHPCGリスト、エントリ数で240%の増加

HPCwire Japan

Tiffany Trader

ハイパフォーマンス共役勾配法(HPCG)ベンチマークのリストがSC15で発表された。これはTOP500システムのランキングの公式測定基準として使われている従来のハイパフォーマンスLINPACK(HPL)ベンチマークを補完するように設計された新しいベンチマークによって作られた4回目のリストである。最初のHPCGリストは1年半前にISC’14で発表され、たった15のエントリしかなく、SC’14のリストでも25エントリだった。HPCGがHPCコミュニティにおいて牽引力をつけるにつれて、現在のリストではエントリ数は60を超えている。

第4回目のリストではTOP500に高ランクされたシステムの多くが含まれているが、HPLのランキングとは大幅に異なる構成となっており、HPCGが異なった、補完的なシステムの特性を示している。

第4回目のHPCGリストの特徴:

  • HPCGのスーパーコンピューティングサイトのリストは現在60エントリを超えており、そのほとんどがTOP500リストの上位システムである。
  • TSUBAME KFCのK20xからK80へのアップグレードにより、HPCGスコアでほぼ倍増している。
  • 日本の強さが示されれおり、NEC SXベクトル・コンピュータは新システムでもHPCGでピーク性能の10%以上を継続している。
  • 新しいIBM BlueGeneがリストに引き続き掲載されている。
  • ロシアからの応募数が全体のシステム数を大きく増加させている。
  • HPシステムがポーランドのPrometheusスーパーコンピュータと共にリストの上位半分で際立っている。

HPCG 3.0が発表
HPCGのメジャーリリース第3版が利用可能となっている。特徴:

  • より多様な計算:問題のセットアップ時間はオーバーヘッドの一部として含まれている。この追加は命令およびデータアクセスの多様性を提供し、システム・バランスにおける別の指標を提供している。
  • クイックパス実行モード:HPCG 3.0はクイックパス実行モードを提供しており、占有時間を大きなブロックでスケジュールすることが難しい運用中の計算機システムで利用可能だ。クイックパスモードは既存の運用中の計算機システム上で全ベンチマークの実行をたった数分で行うことが可能である。
  • 二評価レポート:HPCG3.0では、容易な移行を行うために2.4と3.0の両方の結果をレポートする。
  • ベンダー最適化バージョン:近い将来において利用可能、HPCGベンチマークのウェブサイトで発表予定。

ハイパフォーマンス共役勾配法(HPCG)ベンチマークのプロジェクトは、ハイパフォーマンス・インターコネクト、メモリ・システムや細粒度協調スレッディングなどのアプリケーションの幅広い設定に重要なシステム特性における投資を強調し報いるために、コンピュータシステムの重要な特性を調べる活動として2年前に開始された。HPCGはTOP500システムのランクを行うための従来のハイパフォーマンスLINPACK(HPL)ベンチマークに対する補完的なベンチマークとして登場した。HPCGとHPLの両方の数値によってシステムの性能スペクトルにおけるブックエンドとして機能するものだ。

ウェブサイト: http://www.hpcg