ムーアの法則の復活?LBNLの研究者が見るヘテロ構造酸化物の将来
John Russell

ムーアの法則の衰退の現実は、実証的な理由からもはや疑われていない。とはいえ、決して言われることはないのだ。ローレンス・バークレー国立研究所の研究者たちによる最近の研究では、ヘテロ構造酸化物が、微小なシリコンベースのコンピュータチップに詰め込まれたトランジスタの数が2年ごとに倍増すると予測するムーアの法則に再び命を吹き込む可能性があると示唆している。
「科学者たちは、酸化物材料自体が一般的に絶縁性であることを長い間知っていました。これは、電気的に導電性でないことを意味します。二つの酸化物材料を一緒に層状にしてヘテロ構造を形成すると、超伝導のような新しい電子特性(通常、氷点下数百度で、抵抗なく電気を伝導できる状態)が形成され、その界面に磁性が何らかの形で形成されます。これは、二つの材料が出会う接合点です。しかし、これらの電子状態を制御する方法についてはほとんど知られていません。なぜなら、このインターフェースの下でプローブできる技術がほとんどないからです。」と、Theresa DuqueはLBNLウェブサイトの記事の中で報告している。
「今では、バークレー・ラボの材料科学部門の上級教授で、UCバークレーの物理学の教授でもあるAlessandra Lanzaraが率いるバークレー・ラボ主導のチームは、原子薄酸化不均一構造からの超電性のような新しいエキゾチック状態の生成に光を与えるテクニックを実証しています。」
この研究者達の研究は、ネイチャー・コミュニケーションズで先に報告されている。
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バークレー研究所のAdvanced Light Sourceと共同で、研究者らは角度分解光電子放出分光法(ARPES)と呼ばれる技術を用いて、チタン酸ストロンチウム/チタン酸サマリウムヘテロ構造の層間に閉じ込められた電子の電子構造を直接測定した。「研究者たちは、試料内部の約1ナノメートル(10億分の1メートル)の深さでの探査で、長い間、凝縮物質物理学者が電子材料中の超伝導やそのようなエキゾチックな電子状態を調整するための重要な特徴と考えてきたVan Hove特異点(VHS)やFermi面トポロジーと呼ばれる2つの独特な電子特性を発見しました。」とLBNL記事は述べている。
「我々の発見は、この新しい分野に新たな情報を付け加えています。酸化電子の産業利用への道はまだはるかに遠いですが、我々の研究はムーアの法則を超えた伝統的なエレクトロニクスに代わる次世代の選択肢の開発の一歩なのです。」と、カリフォルニア大学バークレー校の物理学部の学生でバークレー研究所の材料科学部門の博士課程の研究員であるRyo Moriは述べている。
記事へのリンク: https://newscenter.lbl.gov/2020/07/08/hidden-world-of-quantum-states/
ネイチャーレポートへのリンク: https://www.nature.com/articles/s41467-019-13046-z