世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


9月 15, 2014

中国、ソフトウェアを強調

HPCwire Japan

西 克也

今週京都で開催されたEUROMPIで中国国防科学技術大学(NUDT)のYutong Lu教授の招待講演が行われた。講演内容は今年2月に開催されたBig Data and Extreme-scale Computing (BDEC) の講演やHPCwire Japanでも既に取り上げた内容とあまり変わらないものであったが、今回はMPI関連ワークショップということもあり、Lu教授はソフトウェアに関する活動を強調した。エクサスケールの開発にあたってはハードウェア開発に関する様々な課題がHPC業界においては最も話題となっているが、ソフトウェアもかなり重要である。Lu教授はTianhe-2におけるソフトウェア開発の動向とアプリケーションについて語った。

以下の図はTianhe-2のソフトウェア構造を示している。構造は大きく3つの部分に分かれており、それぞれParallel System Environment(PSE)、Parallel Application Developing Environment(PDE)およびParallel Application Environment(PAE)の3つだ。PSEには中国で開発が進められているLinuxであるKylinが使われている。Kylinは最近Ubuntuベースに代わった。また並列ファイルシステムとして独自のH2FSパラレルファイルシステムが使われている。また中国ではクラウドコンピューティングがかなり強力に推進されており、アプリケーションレベルにクラウド用のプラットフォームが用意されているのも特徴だ。

TH2-softwarestack

最後にLu教授は様々なHPCアプリケーションにおける応用例を示した。国内外の研究機関との協力によって我々が予想していたよりも大きな成果をあげているようだ。もちろんTianhe-2は国防関連にも使われているはずだが、今回は科学的な成果にのみに言及している。成果は高エネルルギー物理、気象、流体、地震波解析、バイオインフォマティクス、金融および電子政府・サービスに及んでいる。

最後にTiahe-2の後継は来年2015年後半にインストールが予定されており性能は100PFLOPSと計画されている。