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3月 30, 2015

1原子厚のシリコントランジスタがここに

HPCwire Japan

Tiffany Trader

グラフェンの上を進んでいる!潜在的なムーアの法則のエクステンダーとして認められている新しい2次元の不思議材料がある、Siliceneと呼ばれる。この1原子の厚さの2次元シリコン結晶は、高速でエネルギー効率の高いマイクロチップの将来世代のステージを目指す究極の微細化イネーブラーかもしれない。

グラフェンのいとこであるSiliceneは、ハニカムパターンで整列された1層の原子で構成されているが、グラフェンが炭素ベースなのに対して、Siliceneはシリコン原子からできている。そのため、すでにシリコンによって支配されているマイクロエレクトロニクス業過にとっては統合への容易な道筋を提供している。

従来のシリコン・ベースのトランジスタでは、予測不能になって性能を失う限界はおおよそ5原子の厚さくらいしかない。Siliceneトランジスタの革命はその限界を1原子まで下げるのだ。そして計算においては、より小さいことはより速いことを意味している。

Siliceneは注目すべき遍歴を経てきた。最初に理論化されたのは1994年であり、研究者達がグラフェンに対しシリコンアナログを開発するように目を向け始めたのは2010年だ。2年後、世界でいくつかのチームが個別に研究室内でSiliceneを作るのに成功した。

現在、テキサス大学オースティン校のCockrell School of Engineeringの研究者達は最初のSiliceneトランジスタの論理演算の重要な特性の詳細について明らかにしている

Cockrell Schoolの電気・コンピュータ工学部の助教授であるDeji Akinwandeと主任研究者のLi Taoを含むチームによってこのデバイスは開発された。Siliceneをトランジスタにすることができる彼らのデモは代替CMS材料を探索する中において大きな進歩である。

「こんな短期間で、存在しなかったものからトランジスタを作ることができるなんて誰も予測できませんでした。」とSiliceneを最初に作った科学者の一人であるフランスのエクス・マルセイユ大学の材料科学者であるGuy Le Layは語っている

その見込みにも関わらず、空気に触れた際の不安定性のようなSiliceneに関連した主要な課題がある。

空気への露出を減らすために、研究者は真空チャンバー内でシリコン原子の熱蒸気を銀の結晶ブロックの上に凝縮するようにすることでSiliceneのシートを形成し、次にその上の5ナノメートルの厚さのアルミの層を加えた。そのように保護することで、このチームはベースから安全に剥がして、酸化シリコン基板に移動させることができた。銀の一部を掻き落とすことで、このチームは2つの金属(電極として機能する)の間にSiliceneの1辺を挟んだ状態で露出させたのだ。

露出されたSiliceneは約2分でまだ分解するが、この時間のウィンドウは特性を測定するには十分であった。グラフェンと比べてその電子は「不活発」であったが、Siliceneのバックル付の構造は、グラフェンの場合にはフラットで不足している調整可能なバンドギャップを作るのだ。バンドギャップは半導体が電流のON/OFFを切り替えることができるものであり、トランジスタの基礎だ。

この技術は、他の紙のように薄く空気感受性の材料にも見込みを示しているが、このシリコン性質がSiliceneを商業利用の真剣な候補にしている。

「2次元材料の分野における新しい候補の登場とは別に、シリコンへの化学的親和性を持つSiliceneは、半導体業界のロードマップにおけるチャンスをもたらしています。」とAkinwandeは語った。「ここでの大きなブレークスルーは、効率的な低温製造と最初にSiliceneデバイスを製造したことです。」