世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


7月 13, 2015

IBM、NVIDIA、MellanoxがHPC用のデザインセンターを開始

HPCwire Japan

John Russell

IBM、NVIDIAおよびMellanoxによって7月2日にフランスのモンペリエに設立された新しいPOWERアクセラレーションとデザインセンターは、より広い開発者コミュニティをOpenPOWERプラットフォームにひき付けるための運動と、インテルが独占するHPCの情勢に侵攻していく勢いを作る努力を次第に盛り上げている。

モンペリエを本拠地とするこのセンターはこの種では2番目で、11月にドイツのユーリッヒ・スーパーコンピューティング・センターで先に発表したものを補完するものだ。IBMは世界中に数十のクライアントセンターを持っており、他のIBMサイトでも同様のデザインセンターを展開する可能性が高いと思われる。IBM、NVIDIAおよびMellanoxからの技術専門家達は開発者が、NVIDIA Tesla加速演算プラットフォームとMellanoxのInfiniBandネットワークソリューションと一緒に使うIBMのオープンでライセンス可能なPOWERアーキテクチャを活用するOpenPOWERシステムの利点を取る事ができるとうに支援するのだ。

「これらのセンターは開発者コミュニティと私達のクライアントを会合するのに非常に重要です。今の時点で我々がOpenPOWERで行く事を見ているなら、ハイパフォーマンスコンピューティング、機械学習、データ分析、エンタープライズコンピューティングソフトウェア開発者、およびISVのすべてのエコシステムをPOWERプラットフォームにしょうとすることなのです。」とIBMのHPC及びOpenPOWER事業の副社長であるSumit Guptaがリリース前のブリーフィングでHPCwireに語った。

驚くことではないが、OpenPOWERキャンプは幅広い目標を持っている。「NVIDIAやMellanoxは私達と一緒に構築しているアーキテクチャを見るなら、アプリケーションを数百、数千のサーバにまでスケールすることはもちろんですが、単一サーバの大きな利点も取っています。100ペタフロップスまでスケーリングすることについて行う全てのことはまた、部門クラスタも助けることになるのです。」と彼は語った。

当日の公式発表で引用され、NVIDIAのHPC事業開発EMEAのディレクターのStefan Kraemerは、「エネルギー消費量を最小限にしながら計算性能を増やすことは、この業界がエクサスケール・コンピューティングの競争で克服しなければならない課題です。IBMのPower CPUとGPUアクセラレータおよびNVIDIA NVLink高速GPUインターコネクト技術を組み合わせたシステムを提供することで、我々は科学者が彼らの研究に新たなブレークスルーを達成することを可能にする両方の目的に対処する新しいセンターを支援することができるのです。」と語っている。

「この新しいPOWERアクセラレーションとデザインセンターは、科学者やエンジニアが、エネルギーと環境、情報、およびヘルスケアの分野で社会が直面するグランドチャレンジに対処することを、最先端のHPCアーキテクチャと技術を使って助けるのです。」とMellanox Technologiesのマーケティング副社長であるGilad Shainerは語っている。「Mellanoxのオフロード・データ移動、管理、およびネットワークレベルで実行されるデータ操作(例えばメッセージパッシング-MPI集団通信)だけが、研究アプリケーションに特化したさらに価値のあるCPUサイクルを可能にするのです。」

「この新センターの開始は、IBMのオープンソースへの協力のコミットを強化し、OpenPOWER周りのソフトウェアとソリューションのエコシステムにおける次のステップとなるのです。」と、IBMのHPCマーケット・エンゲージメントの副社長であるDave Turekは語った。「NVIDIAやMellanoxとチームを組むことで、このセンターは私達が各々の会社の技術革新を拡大するための強みを活用し、世界中のお客様により高い価値をもたらすのです。」(Is IBM Getting Openness Right?を参照)

1つが来ると、すべてが来るか?

Guptaによると、このセンターは現在すでに業務を開始している。正式には、このセンターは顧客とすべてのOpenPOWERメンバー、およびアカデミアには無償で使う事ができる。彼は付け加えて、「私達はまた研究コミュニティとアプリケーション・コミュニティに積極的に手を差し伸べています。私達は非常に大規模なアプリケーション参入チームを持っており、私達と一緒に仕事をしようと思う方はどなたでも歓迎します。IBMにコンタクトしてください、私達は喜んでお手伝いします。」

彼のメールの受信箱が直ぐに一杯になるのをみるだろう。

このデザインセンターは中国で3月に開始されたSuperVessel開発者プログラム(IBM Introduces SuperVesselを参照)とは異なる。SuperVesselはクラウドベース(OpenStack上の)であり、モンペリエのセンターはHPCクラスタ用の従来のブロックとモルタルの施設だ。最先端技術と知識は、これら3つ全ての共同研究者のものを利用できる。開発者およびクライアント·コミュニティに恩恵をもたらすほかに、NVIDIA、MellanoxおよびIBMが彼らの技術がどのくらい一緒に動いているかに関する迅速なフィードバックを得る事を可能にする、とGuptaは指摘する。

予想されるように、インテルとOpenPOWERキャンプ間の戦いの中で、競争的な熱意は熱くなる。

POWERの利点を特徴付けるには、「POWER CPUコアはx86コアよりも高性能です。
私達のコアのいくつかは4GHzまでクロックを上げることができました。各コアは8個のスレッドを持つのに対してx86はコア当りたった2スレッドです。4個のプロセッサソケットでは、96個のスレッドを持つことができますが、x86は最大でも24スレッドです。私達のメモリ帯域幅はほとんどのHPCアプリケーションにおいてx86より3倍高速でした。私達の場合には、テラバイトのメモリをどのプロセッサソケットにも接続でき、より大きなデータを操作すつことができるのです。」とGuptaは語っている。

インテルは間違いなく、特定のメリットを争っておらず、仕様の戦いはまだ続きそうだ。OpenPOWERにとって最も重要なことは、開発者コミュニティの十分な部分からの支持を獲得し、主要なHPCアプリケーションをこのプラットフォームに移植することだ。

「私達が見ている主要な指標のひとつは、私達のプラットフォームを採用している開発者の数です。私達にとって測る事は非常に重要で、やり方はいろいろ多くあると思っています。開発者の数を見ていますが、またPOWERプラットフォームを採用するアプリケーションの数も見ていますし、もちろん、最終的には製品を使う顧客の数を見る事になるのです。」とGuptaは語った。