世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


11月 19, 2019

【NEC】大阪大学OCTOPUSへパブリッククラウドを利用したクラウドバースティングを実装

HPCwire Japan

国立大学法人 大阪大学サイバーメディアセンターの伊達進准教授らの研究グループは、日本電気株式会社と日本マイクロソフト株式会社と共同で、スーパーコンピュータ環境で利用者の計算需要が急激に増加した場合に、パブリッククラウドにオフロードするクラウドバースティングを実装した。

大阪大学のスーパーコンピュータOCTOPUSは、研究者の需要増大により、計算要求から計算完了までの待ち時間が定常的に長時間になるという問題が深刻になりつつあった。これに対し、IaaS型クラウドサービスを利用した解決法が望まれていたが、これまでスーパーコンピュータと民間のクラウドサービスの同時利用は、利用者の管理、計算の管理等に相違があったため運用的な視点で困難だった。

今回、ジョブ管理機能、クラウドサービス制御機能の新たな開発を大阪大学と日本電気で行うことで、大幅なシステム変更・開発を必要とせず、OCTOPUSとクラウドサービスAzureのクラウドバースティング環境が実現できた。サイバーメディアのスーパーコンピュータから、日本マイクロソフト株式会社が提供するパブリッククラウドMicrosoft Azureに、近年急速に期待と関心を高めているクラウドバースティング技術を応用することで、OCTOPUSの負荷をAzure上に構築した計算機資源にオフロードする。2019年内にOCTOPUSの利用者である研究者を対象に実証実験を行い、今回構築したOCTOPUS-Azureクラウドバースティング環境での検証を通じて、将来の本格運用に向けた技術課題の抽出を行いつつ、医療データなどの取り扱いを想定したオンプレミス環境とパブリッククラウド環境間でのセキュアなデータ共有についても検証する。

本研究成果により、OCTOPUSのクラウドバースティング拡張が可能になると、利用者の待ち時間の縮減、ジョブスループットの向上が期待される。


ソース:日本電気