ストレージシステムの中央集約一括管理による統合化推進事例
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クラウドサービスが急速に世の中に進展し、サーバ機能だけでなくデータの保存もクラウドに求められるようになりました。クラウド上のデータにアクセスする方法は、従来のブロック型デバイスの仕組みとは異なる「オブジェクト型」と呼ばれるオブジェクト単位でのデータの授受が基本となります。オブジェクト単位でのデータアクセスには専用のプロトコルが用いられ、多くのプログラムがオブジェクト型のアクセスに書き換えられています。この状況はオンプレミス型のストレージシステムに対しても「オブジェクト型」によるアクセスを要求する新たな時代への変革をもたらしています。
本事例はIBM Spectrum Scaleの機能を活用し、ブロック型ストレージとオブジェクト型ストレージを共存させた先進的な統合ストレージシステムの構築事例となります。
導入の背景と課題
このお客様は、多分野に渡りデータの収集・解析及び情報の作成・提供を行っています。
以前までの基盤システムは、業務タスクごとに個別の構築がされており、いわゆるサイロ化による様々な問題が発生していました。これらの問題の解決を目指し、サーバの一括管理、各種データの共有ができる中央集約/一括管理型の統合基盤システムの導入が進められました。
新しい統合基盤システムでは、業務データおよびシステム基盤内のバックアップファイルを保存・蓄積する、「統合ストレージ」と呼ばれる機能も策定されています。
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統合ストレージの特徴
統合ストレージは、高速共有ファイルシステムとしてSpectrum Scale、バックアップソフトウェアとしてSpectrum Protectの2つのIBM製Software Defined Storage(SDS)製品で実装することにより、以下の特徴的な機能を有しています。
【Unified Access】
一般的な統合ストレージ(またはユニファイドストレージ)は、ブロックアクセス(iSCSI)、ファイルシステムアクセス(NFS、SMB)、オブジェクトアクセス(S3、OpenStack Swift)など複数のアクセス方式を介してデータを保存することができます。しかし、それぞれのアクセス方式で保存したデータは、異なるアクセス方式ではデータを取り出し、編集することができません。
この統合ストレージは、Spectrum ScaleのUnified Accessという機能を使用し、ファイルアクセス(NFS、SMB)とオブジェクトアクセス(S3、OpenStack Swift)で保存したデータを相互でアクセスすることを可能にしています。
また、それぞれのアクセス方法で使用している認証も同一のLDAPを使用することで、ユーザは同じIDでファイルアクセスもオブジェクトアクセスも使用することができます。
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【テープバックアップ】
統合ストレージはSpectrum Protectの機能による、テープ媒体へのファイルバックアップ機能を有しています。しかし統合ストレージは、複数の業務システムが使用しているため、基本的に24時間365日サービス提供し続けなければなりません。そのため、バックアップ取得のために一時的にサービスを止めることはできません。
そこで、Spectrum Scaleのスナップショット機能を使用し、バックアップ取得対象の領域の静止点を取得、Snapshot領域からファイルバックアップすることで、サービスの継続性とバックアップを両立しています。
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当社の役割
当該プロジェクトは、某官公庁内の組織横断の共通システム基盤を構築する案件であり、当社はプライムベンダー様のパートナーとしてIBMのストレージ製品に関する部分の設計構築を担当しました。
当社はストレージシステムの豊富な構築経験をもとに、お客様の要望を取り入れつつ、システムに存在する各種の制約やルールを踏まえながらプライムベンダー様との密な情報交換を行い、希望にマッチするベストなシステム構成となるよう柔軟に設計を行いました。
設計を行ううえで、最も苦労した部分はSpectrum ScaleのUnified Access機能の設計でした。この機能は国内外の構築事例が少なく、詳細設計に有用な情報がほとんどない状態でしたが、自社内で入念な検証を繰り返すことで無事リリースまで導きました。
統合ストレージを導入したことによる効果(価値)と今後の展望
業務データの保存場所が集約されたことで、今までは難しかった業務間のデータ連携が容易になり、業務を跨いだ新しいデータ分析が期待されます。さらに、Unified Accessによるマルチ方式での同一ファイルアクセスは、既存プログラムの有効活用と、それぞれのアクセス方式を生かした柔軟なファイル活用を可能としています。
Spectrum Scaleは物理ディスクを追加するのみでスケールアウト拡張が可能となっており、業務データが増加していく中で、段階的に統合ストレージの必要容量の増加が予定されています。
バックアップシステムは、統合ストレージをターゲットにした集中管理が可能となり、運用負荷の軽減に大きく寄与しています。
※記載されている製品名、社名は、各社の商標または登録商標の場合があります。
株式会社エクサの概要
設立年月日:1987年10月1日
資本金 :1,250百万円
株式会社エクサは、日本アイ・ビー・エム株式会社とJFEスチール株式会社を母体とするITサービス会社です。先進的なIT製品技術を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、上流のコンサルティングから開発・構築、運用・保守までの各種サービスを総合的に提供しています。
URL:https://www.exa-corp.co.jp
本件に関するお問合せ先
株式会社エクサ マーケティング部
〒220-8560 神奈川県横浜市西区みなとみらい4-4-5 横浜アイマークプレイス2階
TEL:0120-934-863
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