世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


9月 19, 2014

ロシアが独自のチップを開発

HPCwire Japan

Tiffany Trader

ロシア当局はIntelやAMDのUSマイクロプロセッサを国産の部品に置き換えたいらしい。最近のローカルなニュースサービスからのレポートによると、ロシア政府は政府系のコンピュータおよびサービスへの利用のために、64bit ARMチップを使った独自のマイクロプロセッサラインを作成する計画をしている。

この新しいマイクロプロセッサは、国有の防衛大手であるRostecと技術系国営ベンチャーキャピタルのRusnanoからの資金で、スーパーコンピュータベンダーT-Platformsの事業部であるBaikal Electronics社によって設計されるようだ。このBaikalの名前は、シベリア南部にある世界最大の淡水湖であるバイカル湖にちなんでいる。

この数千万ドルのプロジェクトは、ロシアの産業貿易省によって管理されている。アメリカ企業の現在のチップの代わりに、Baikalのプロセッサ・ラインはARMホールディングスの64bit Cortex-A57設計と使って構築され、2GHzで動作する。Baikal MおよびM/Sと指定された最初の製品は、28nmのプロセス技術を使って製造される。この8コアの変異体は来年早々にデビューする予定で、16nmプロセス技術ベースのさらに強力な16コア・サーバプロセッサが2016年後半に続く予定だ。

ロシアの報道機関であるKommersantは、現在ロシアは28nmのプロセッサを製造する能力はなく、数千万ドルと推定されるプロジェクトの値付けには製造コストが含まれていないと指摘している

この新しいチップはLinuxベースのパーソナルコンピュータやマイクロ・サーバを動作させ、主に防衛産業や他の政府系列の企業で利用されるだろう。タス通信によると、ロシア政府は毎年700,000台のパーソナルコンピュータを5億ドルで、同様に300,000台のサーバを8億ドルで購入している。総市場規模は35億ドル相当の500万デバイスと推定される。

チップが政府のシステムをターゲットとしているこということは、このプロジェクトがセキュリティ上の懸念が動機であることを示している。しかし、このプロセッサが成功すると、市場はロシアの公共部門に広がる可能性があり、さらに潜在的にはロシア国外にも可能性がある。