ポーランド、スパコンレースに参加
Tiffany Trader

今年10月初めに、グダニスク工科大学はポーランドにおける初めてのスーパーコンピュータを構築する計画を発表した。この9百万ドルのプロジェクトはMegatel社とAction社のパートナーシップで計画されている。この契約ではポーランドが初のペタフロップスを超える計算クラスを持つこととなるのだ。コンソーシアムは1.2ペタフロップスあれば世界の高速コンピュータのTOP500リストの上位10パーセント以内に入るのに十分であると予測している。ヒューレットパッカードにより構築される2,600プロセッサのシステムは15トンの重量があり、約30ラックで構成される。
「現時点で、このシステムについて克服できない問題は何もありません。」とMegatel-Actionコンソーシアムの担当者は述べている。「これは最新のプロセッサを搭載しており、1ヶ月前に発表されたものです。」
このスーパーコンピュータは特殊な製造プラットフォームの中核となり、研究基盤製造アプリケーションエクセレンスセンター”Centre of Excellence for Research Infrastructure Manufacturing Applications (CD NIWA)”により運用される。このエクセレンス・センターは利用者が様々なアプリケーションを開発して実行できるように、ツール、サービスおよび専門家支援を提供する。
このセンターは、国の経済的地位と幸福にとって重要なエネルギー分野(シェールガス)、環境、および医療などの専門分野を中心に、多くの科学的チャレンジを支援するために公開されている。
この発表の一方で、クラクフのAGH科学技術大学は、革新的な冷却システムを使った、さらにパワフルなスーパーコンピュータを構築することを明らかにした。10月20日、AGH大学学長であるTadeusz Słomka教授、アカデミック計算センターCyfronetのディレクターであるAGH Kazimierz Wiatr教授、および技術企業MegateとActionのリーダー達はPrometheusと呼ばれるセンター既存スーパーコンピュータZeusの4倍パワフルとなる1.7ペタフロップスのシステムを展開する12百万ドルの協定に署名した。2014年6月のTOP500のデータを基にすると、Prometheusはポーランドで1位、ヨーロッパで12位、世界で30位となる。
ヒューレット・パッカードがこのシステムを製造し、1,728台のHP Apollo 8000サーバを56 Gbpsのスピードで動作する性能を持つ高速InfiniBandで接続する。計算機の15台のラックは41,000台以上のIntel Haswell-EP CPUと215TBのDDR4メモリを搭載している。完成した暁には、Prometheusは世界最大のHP Apollo 8000サーバのインストールとなる予定だ。合計容量10PBで150 GB/sの帯域幅を持った2台のファイルシステムと接続される。
革新的な直接水冷技術を用いることにより、プロセッサとメモリモジュールがスムースに動作できるようにしており、Prometheusは世界のこのクラスの中では最もエネルギー効率の高いものとなる。そのエネルギー効率(PUEで計測される)は世界の最大規模データセンターシステムに匹敵する。水冷により高密度実装が可能となり、31トンもの巨体がたった15キャビネットに収まり、通常の空調の場合と比べて半分しか必要ない、とプロジェクトの担当者は指摘している。Prometheusは約650kWを消費するが、これは1/4しか性能を持たない古いマシンであるZeusのたった25パーセント増だ。
PrometheusはCyfronet大学の中の新しい目的で建築されるデータセンターに設置され、化学、物理、宇宙物理、生物、エネルギーおよびナノテクノロジーなどを含む多くの様々な分野の研究者に提供される。この新システムはまた、PLGrid、CTA(宇宙物理)、LHC(高エネルギー物理)およびEPOS(地球物理)などの大規模プロジェクトにも貢献する予定だ。
2013年には、250万のZeusの登録ユーザがおおよそ8百万計算タスクを実行し、通常のコンピュータを使った場合にはざっと11,000年掛るような偉業だ。計算ワークロードは数と複雑度において大幅に増加しており、Prometheusのパワーに感謝するだろうと、大学の担当者は期待している。