世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


8月 5, 2013

NVIDIA、Kepler GPUのモバイル版を公開

HPCwire Japan

Alex Woodie

NVIDIAは最近のグラフィック分野の会議において、スマートフォンとタブレットのための低消費電力版Kepler GPUであるLoganプロジェクトをデモンストレーションした。同社によれば、プロジェクトLoganの出荷時に、平均的なモバイル機器は、最も高性能なデスクトップPCとコンソール・ゲーム機と同様なグラフィックス性能を持つようになる。

消費電力あたりの計算能力を最大にするために、GPUを使うことは、今日、HPCの大きな要素である。そして、HPCコミュニティーがエクサスケールに向かいつつあり、消費電力を現実的な値に留めるために、GPUとコプロセッサーの利用は性能の向上に極めて重大である。

同様に、電力効率は、コンシューマー向けゲーム市場にとっても重大である。そして、処理能力、消費電力、冷却能力のトレードオフに直面する。

NVIDIAによると、プロジェクトLoganには、HPC向けにKepler GPUを開発した際の経験が必要で、それを急成長しているコンシューマー向けモバイル用途に適用している。

NVIDIAがブログに投稿したところによると、プロジェクトLoganは、特にモバイル機器のために設計される「新しい低消費電力ユニット間結合と広範囲な新しい最適化」と組み合わされるKepler GPUである。

この方法により、開発者は、NVIDIAのハイエンドGPUであるGeForce GTX Titanによる高性能グラフィックスと(ほとんど)同じように開発できる。それには、テッセレーションの利用、計算に基づく遅延レンダリング、より進んだアンチ・エイリアシング、ポスト・プロセス・アルゴリズムが含まれる。これらが僅かな消費電力で可能になる。

プロジェクトLoganの能力をデモンストレーションするために、NVIDIAは、レンダー「Ira」が
どのようにチップの上でレンダリングするかを示した。この「Ira」は、NVIDIA CEOジェン・スン・ホワン氏が今年初めの会議でTitanの能力を示すために最初にデモンストレーションした架空のキャラクターである。しかし、完全なデスクトップで「Ira」を表現する代わりに、カリフォルニア州アナハイムで行われたSIGGRAPH会議においてはNVIDIAはタブレットを使った。

驚くべきことに、Titanによるレンダリング技術の大部分によって「Ira」をレンダリングするのと同じことを、250ワットではなく2から3ワットのLoganで可能である。NVIDIAによると、iPad 4のようなタブレットのGPU能力が、Loganにより1/3以下の電力で可能になる。そして、グラフィックス・エンジンがより高度なことをする余力ができる。

プロジェクトLoganは、NVIDIAの中で数週間か進行しているだけだが、同社は将来を楽観している。NVIDIAがビデオで語ったところによれば、「Loganの中心にはKeplerコアがあるので、プログラム可能性と、ハイエンドのキュラクター・レンダリングのための性能の両方を、我々は持っている。すなわち、ゲーム開発者は、デスクトップのためにものすごい性能を開発することも、それをモバイル機器に持ってくることもできる。」