AMD、ロードマップを刷新しHPCに戻る
Tiffany Trader

AMDは5月6日にニューヨークにおいて、2015 金融アナリスト・デイのイベントの一環として彼らの数カ年戦略の重要な要素を明らかにした。発表されたものの中で、CEOであるLisa Suは彼女の注意をAMDが赤から緑に損益計算書を変えるように期待している行動方針に向ける前に、虚弱なPC市場と市場シェアの損失を指摘しながら、この企業の最近の挑戦を認めた。これは収益基盤を多様化し、新市場への成長を模索するように、AMDをハイエンド・サーバの領域に戻す行動方針である。
「私達は高性能演算、高性能グラフィックス、可視化技術、およびチップ上の複雑システムを必要とする領域にフォーカスしています。」と報告書をキックオフしたSuは語って、「これらはAMDに特に適している領域であり…約600億ドル超のTAMを表すものだと考えています。」
「データセンターはおそらく私達が企業として作っている唯一最大の賭けです」と彼女は宣言した。「過去2、3年間私達は競争力がありませんでしたが、データセンター市場においては競争性があるようになります。」
彼女はまたSeaMicro高密度サーバシステム事業ラインを終了する決定をしことについて話をした「ひとつにマイクロサーバが当初考えていた程の速さでは成長しなかったからであり、2つめには私達が本当はシステム企業ではなく、シリコンサイドで、とてもとても明らかにx86企業で、膨大なx86の資産を持っており、絶対にハイパフォーマンスx86に投資しようとしているからなのです。」
技術に関しては、AMDのポートフォリオの決定はハイフォーマンス・コア、没入型技術、2.5/3次元パッケージング、およびソフトウェア/APIにフォーカスするものだとSuは語る。これは、増大するx86への投資、ARMへの投資へのフォーカス、およびCPUロードマップの簡素化と並ぶものである。
何故AMDが速くこのような変更をしなかったのか、AMDがなぜすぐにこれらの変化をもたらさなかったかについて疑問に思っている人々に対して、Suは宥和も提供した。
「プラットフォームサイドでは、この数年間君たちは何をやっていたのかと尋ねる人が多いでしょう。真実は、研究開発能力および技術とモジュール性の両方を本当に転換するのに時間を要しているのです。」と彼女は語った。
そして今…簡略化されたロードマップでZenを獲得する
AMDの刷新技術ロードマップのハイライトは、真新しいx86プロセッサコアで、「Excavator」コアに対して40パーセントもクロック毎の命令処理を改善したとの売り込みのコードネーム「Zen」だ。ラインナップには存在しないのがSkybridgeプロジェクトだ。昨年発表され、共通のプラットフォーム上でx86とARMを一緒にする計画が無くなっており、Suによると、x86とARMの要望はあるが、ソケット互換のファクターの必要性は無いとの顧客フィードバックによるものだそうだ。
AMDの最高技術責任者で上級副社長のMark PapermasterはAMDのx86の位置付けを説明し、2016年に登場を見越しZenのスペックの一部を打ち出した。AMDは、ハイパフォーマンス・デスクトップとサーバ市場への再参入を推進し、アーキテクチャのライバルであるインテルに対して競争的な状態に戻るために手段として新しいZenコアを考えている。
「高スループットで、非常に効率的な設計、および新キャッシュとメモリ・サブシステム設計がこのコアに提供されます。」と彼は同時マルチスレッディング(SMT)機能を指しながら語っている。この夏出る予定の性能は前世代コアExcavatorの2倍弱の結果となっているとPapermasterは述べた。
「これはひとつの銀の弾丸ではありませんでした。」とPapermasterは続けた、「しかし、このマイクロアーキテクチャの改良を促進し、私がこの業界で見た事がないものを提供するためにいくつもの要素を結合することで、クロック当りの命令処理を40パーセント向上したのです。」
これは将来のワークロードのために設計されたコアであり、来年利用可能となる、と彼は付け加えた。また、Papermasterによれば、これは持続可能な技術革新へのコミットメントでもあり、同社が飛び越える設計チームと持ち、時間の経過ととおにコアのファミリーを確立するためにすでにZenの後継へ取り組んでいると言っている。
Papermasterはまた、AMDの最初の64-bit ARMコア「K12」コアが2017年のサンプル出荷の予定であることを公表した。これらエンタープライズ。クラスのARMコアは効率のために設計されており、サーバおよび組み込みワークロード向けだ。
グラフィックスの方では、AMDは、2.5次元シリコン・インターポーザー・デザインを使用した高帯域幅メモリ(HBM)を積層したダイを使った
高性能グラフィック処理ユニット(GPU)を発表する準備を進めている。このコアは、グラフィックスおよび並列計算用に最適化されており、いくつもの拡張(下のスライドを参照)を含んでいる。AMDは高性能GPUの将来世代はワット当りの性能を2倍することができるFinFFEプロセス技術をベースにする予定であると報告している。
これら3つの非常に重要なチップ技術はAMDのエンタープライズ・組み込み・セミカスタム・ビジネス・グループ(EESC)のビルディングブロックとなる。新しいグループは2014年にAMDの事業ユニットの再編成の一部として開始され、EESCは差別化ソリューション内の高性能CPUおよびGPUコアを活用する優先度の高い市場にフォーカスしている。
事業グループのゼネラルマネージャで上級副社長のForrest Norrodは、EESCセグメントを「過去数年間の成長の主要なドライバーで、AMDの成長物語の中心であると考えているもの」と見ている。
Norrodは、これら3つの事業(エンタープライズ、組み込み、セミカスタム)がAMDの技術を披露するための最良の方法であるという考えを共有していると付け加えた。
「これらの事業の全てにおいて、当社の顧客は私達が提供する技術原料から製品を構築して、エンド顧客にAMD固有のIPを活用する差別化ソリューションをもたらすのです。」と彼は述べている。
「チップばかりでなくシステムレベルの両方において、技術、顧客関係およびモジュラー設計アプローチを活用する連続性としてESSCの現在を本当に考えているのです。」
Norrodは広範なストロークで、次世代x86 Opteron、次世代ARM、および我々が緊密に今後追跡するAPUを含んだ2016年から2017年のタイムフレームにおけるAMDのデータセンター・ロードマップを公表した。
今後の次世代AMD Opteronプロセッサはx86「Zen」コアベースとなり、メインストリームのサーバをターゲットとする。これらx86 Opteronは完全なマルチスレディング、破壊的メモリ帯域幅、および高いネイティブI/O容量を持つ、高コア数を誇っている。Norrodはまた、AMDの次期「K12」コアで動作する「最高性能ARMサーバGPU」を紹介した。
しかしHPCに最も関連性の高いのは、HPCおよびワークステーション市場をターゲットとした数テラフロップス・チップである新高性能サーバAPUだ。
「私達はサーバの領域へAPUの概念を完全にもたらしているのです。」とNorrodは述べている。「これらは 高性能CPUコアやメモリの提供だけでなく、数テラフロップスのGPU能力、機械学習用性能レベル、有限要素解析用性能レベル、そして石油企業が貯留シミュレーションに使用する逆時間マイグレーションアルゴリズムのためのメモリ帯域幅用性能レベルを提供する高性能サーバAPUなのです。」
このAPUライン(APUはaccelerated processing unitの略)は、AMDがグラフィックス・チップセット製造企業ATIを買収したことで、2006年に開始された融合プロジェクトの成果である。AMDは
過去のHPCワークロード用のタイトなCPU-GPU統合の潜在的利益の話をしたが、これまでAMDのAPUの取り組みは主にデスクトップの領域に追いやられていた。
2012年1月、AMDは異種システム・アーキテクチャ(HSA)としてこの融合プラットフォームのブランド名を変更し、ここ数ヶ月の間にHPCなどの広範囲のワークロード用のGPU+アクセラレータ・アーキテクチャとして擁護を始めている。
次世代サーバAPUは、スケールアップ・グラフィックス性能、HASの有効化、および最適化されたメモリアーキテクチャによるベクターアプリケーションの大規模な改善を提供している、とAMDは語っている。「私達はCPUと世界クラスのGPUを一緒に結合させ、オープン標準のHSAソフトウェア・インタフェースと結合させることによってのみ可能となるユニークで魅力的な技術を持っていると考えています。」とNorrodは語った。
この時点で明らかでないのは、APUの数テラフロップスという性能は単精度なのか倍精度なのか、そしてNorrodがリストするワークロードがその点において(例えばFEAおよび機械学習)寄せ集めかどうかということだ。もちろん、各々に対してAMDがバリアントを出すことができない理由はないが、64bit浮動小数点版無しでHPCの信頼を得る事は難しい。