パーデュー大学、8年間で8台目のクラスタを点灯

Tiffany Trader

パーデュー大学では、クラスタ計算機の設置作業をチームで競うのが伝統になっている。大学の中央計算組織である ITaP（Information Technology at Purdue）は、スタッフとボランティア100人以上で8代目のクラスターを作りあげたところだ。これまでその内の7システムがTOP500にランキングされている。

金曜日の朝に、パーデュー大学数理科学ビルの高性能コンピューティングデータセンターで、チームは最新の研究用スーパーコンピュータを箱から取り出して組み立て始めた。パーデュー大学の計算科学プログラムの創設期の教授陣の一人であるJohn Riceに敬意を表して「Rice」と名付けられたHPクラスタを、その日の午後までに立ち上げ、走行させる競争にチームの面々は挑んだ。

「Rice」は、科学と工学アプリケーション向けに最適化されたパーデュー大学の最新のコミュニティクラスタである。このHPクラスタは、10コアのIntel Xeon-E5 2プロセッサで構成する576計算ノードが謳い文句だ。すべてのノードは20コア、RAM 64 GBのメモリで構成されており、56GbpsのInfiniBandで相互接続されている。しかも5年間の保証付きで。さらにクラスタは、Data Direct Networks社のSFA12KX EXAScalerのストレージプラットフォーム上にLustre並列ファイルシステムを構築している。

公式な性能報告はまだ発売されていないが、ITaPは「Rice」が平均的なラップトップの約7000倍の処理能力を提供するだろうと述べた。さらに、「Rice」が既存のクラスターである「Conte」、「Carter」とともに、TOP500の位置を占めるだろうとも述べた。 ITaPの教員とパートナーは、2008年から既に6台のTOP500クラスのスーパーコンピュータを構築しており、「Rice」は7番目になる。

3つのクラスタ「Rice」「Conte」と「Carter」は、パーデュー大学の150の研究室の数百人の教員と学生によって共有され、幅広い科学と工学の問題のためにコンピューティングパワーとして活用される。具体的には、より良い疾患治療を通じて人間性を豊かにする研究、改良された農作物技術、気候シミュレーションそして宇宙における新発見である。

ITaP研究コンピューティングでは、メモリインテンシブなジョブやシリアル高速大量処理向けに、2つの小さなクラスタ「Snyder」と「Hammer 」を追加しようとしている。

「Rice」は、毎年クラスタを運営するコストとほぼ同じである約460万ドルで購入したと、パーデュー大学のCIOであるGerry McCartney氏は地方公共ラジオ局に語った。さらに、このレベルの先端コンピューティング能力なら、容易に優秀な人材を引きつけることができ、コストの観点からも正しいモデルであると自信を持っている、と述べた。

「私はコストのごく一部が外部に向かうことを喜んでお話します。今は変化の時で、我々は外の世界へ出向きます。」と、彼はホスティングサービスをほのめかした。

「想像してみて下さい。教員の研究と学生達の成功の支援にために私たちに何ができるのでしょうか？今はマシンを構築することですが、5年以内にそれは完全に別なモノに脱皮する可能性があります。」

ここでは、クラスタの構築のコマ撮りビデオをご覧ください。

McCartneyにとって、強力なHPCのアップグレードパスへの推進力は明白だ。

McCartneyは次の様に述べた。「生命に関する発見や社会変革を起こす発見を行う教員からの要求で、毎年TOP500クラスタを追加しています。学長Mitch Danielsの唱えるパデュー・イニシアチブにより、新たな研究者がパデューに参画することにより、その要求を継続的に拡大することができるのです。」

気象専攻の大学院生Kim Hoogewindは、将来の厳しい天候パターンをシミュレートするジョブを最後の箱を開ける前に忘れずに「Rice」に投入した。Hoogewindはジョブを6ノードで走行させ、1時間以内でジョブは終了した。

Hoogewindは大気科学のMichael Baldwin教授の研究室で活動している。そのチームは、気候変動と雷雨や竜巻などの厳しい気象現象との関係を数十年分に値する気象データを使って研究している。それはちょうど「Rice」のようなスーパーコンピュータなしでは実現不可能な研究だ。

Baldwin教授は「何か意味のある事をするためには、何年も何年もシミュレーションをする必要があります。それには高性能コンピューティングが必要で、それ以外にはありません。」と語った。