世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


12月 13, 2023

アリババ、量子コンピューティングから撤退

HPCwire Japan

John Russell オリジナル記事「Alibaba Shuts Down its Quantum Computing Effort」

念のためお伝えしておくと、中国の電子商取引大手アリババが量子コンピューティングの研究活動を停止した。何がこのような変化をもたらしたのか、完全には明らかになっていない。ロイター通信は、アリババが「研究部門から量子コンピューティングの研究室とチームを切り離し、研究室と関連する実験装置を浙江大学に寄付した」と報じた

アリババは、巨大eコマース/クラウドプロバイダーの中では比較的早くから量子コンピューティング研究に参入しており、その取り組みはアリババの研究組織DAMOアカデミーに置かれていた。アリババはこの取り組みに150億ドル規模を投資したとの報道もある。ロイターの報道によると、約30人の従業員が解雇され、浙江省で彼らの職を見つけるための努力が行われているという。

量子研究の具体的な問題と結びつくというよりも、量子研究はアリババを取り巻く大きな混乱と進行中の組織再編に巻き込まれたというのが一般的な見解のようだ。同社は、DAMO組織がアリババのビジネスに近い将来影響を与えることができるかもしれないAIと機械学習研究の仕事を深化させると述べた。

最近の米国の半導体輸出規制など、マクロ的な懸念も要因のひとつだろう。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は先月初め、アリババが「先月末に施行された輸出規制の影響を理由に、クラウドコンピューティング部門を分離・上場させる」計画を白紙に戻したと報じた。アリババは、この規制はクラウド事業が製品やサービスを提供し、既存の契約を履行する能力に「重大かつ悪影響を及ぼす可能性がある」と述べ、同部門の成長に注力すると付け加えた。

アリババが中核事業の問題や組織再編を整理している間、量子の取り組みがすぐにビジネスに影響を与える可能性は低いと見なされていたのかもしれない。一方、AWS、Azure、Googleといった米国を拠点とする大手クラウドプロバイダーは、量子コンピューティング計画を引き続き推進している。