CMUとボーイング社が航空宇宙データ分析ラボを設立
カーネギーメロン大学とボーイング社(NYSE:BA)は、機械学習、言語技術、データ分析における大学のリーダーシップを活用する新しい学術研究のイニシアチブである、ボーイング/カーネギーメロン航空宇宙データ分析ラボを設立した。これは、産学連携に拍車をかけるビッグデータとHPCの間の融合を示すさらなる証拠である。

CMUとボーイングが言うには目標は、現在の航空機の設計、建設、および運用において出る膨大なデータ量を活用するために、人工知能とビッグデータの使い方を探ることである。各飛行機の実際の飛行記録および部品性能から決定される保守スケジュールを作成することもひとつの可能性である。
ボーイングの最高情報責任者であるTed Colbertは、同社の進化するビジネスニーズに対応するユニークな航空宇宙のパートナーシップとしてこのラボを説明している。「私達は技術の限界に挑戦することを目指しています。」とColbertは語った。「我々は現在と未来におけるビジネスの課題を革新し、解決することができる方法に焦点を当てた主要な研究所において、最も優秀な教員を持っているのです。」
このラボは、エビデンスに基づいた予測保守のために記述されたレポートを自動的に分析するような機能や、大規模データベースにおけるパターン検索を専門とした機械学習を含んだCMUの言語技術研究所の専門知識を利用する予定である。
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James Carbonell 出典: Boeing |
ボーイング社は次の3年間で7百50万ドルを提供する。Allen Newell大学の計算機科学の教授で言語技術研究所のディレクターであるJaime Carbonellは、計算機科学科全体およびCMUキャンパス全体としての世界クラスの専門知識を利用する新たな研究の試みをリードするのだ。ボーイング社の前最高ソフトウェア・エンジニアで現在は言語技術と計算生物学の教授であるJohn Vuは、ラボの設立と監督における重要な役割を演じている。
「航空宇宙産業で毎日生成される大量のデータは人間の理解を圧倒しているのです。」とCarbonellは述べている。「しかし、言語技術における最近の進歩と機械学習によって、そのデータから役に立つ洞察を我々が得ることを期待できるようになったのです。この新しいアルゴリズムと方法は、さらに強力な航空宇宙産業を作り、他の多くの重要な試みにも適用可能なのです。」
6個以上の初期のボーイング向けのプロジェクトが確認されている。CMUは、少なくとも20名の教員と院生の研究者がボーイング・ラボに参加すると予測しるのだ。
このラボの課題のひとつはテキスト(保守報告書、乗組員のログなど)を扱うことだと、Carbonellは指摘している。「ボーイングにはたくさんのテキストがあります。ほとんどの企業にもテキストが多くあるのです。」 研究のひとつの領域は、これらのテキストを自動的に解析し、すべてのセンサーデータや他のデジタル記録と一緒に分析できるように情報を収集することなのだ。これは業界のホスト全体に影響を与える可能性のある技術なのです。」
航空学は現在の最もデータ集約型産業のひとつである。現代の航空機はデータを常に作り出しているセンサーと組込みコンピュータを搭載している。各々の数千の航空機の製造段階と通常の保守から集められる多数の情報を一緒にすることで、このデータは、より安全で信頼性が高く、より効率的な航空機の運航につながる新しい知見を集める機会を提供するのだ。
ビッグデータは単なる膨大なデータ量ではなく、高次元で - そこでは、各データエントリーが数百、数千の属性(センサーの全読み込み履歴)を持っている-、高度にリレーショナルで、他のデータ・ポイントと数十億の潜在的な関係を持ったデータエントリーを持っている、とCarbonellは強調している。他の課題は、単なるデータへのアクセス(これは、CMUの研究者が操作することができ、解析される他のデータ型と互換性のあるフォームの中で取得するものだ。それで研究はデータ科学”stack”のすべての部分にタッチするのである。)、データ構造、システム・アーキテクチャ、そして最後に解析アルゴリズムだ、とCarbonellは語った。
この新しい取り組みは、CMUとボーイング社の長い提携の一部である。「カーネギーメロンとボーイン社の研究者らは30年以上も協調関係を享受してきており、数百名の卒業生がボーイング社に勤務しているという実績を誇りに思っています。」とカーネギーメロンの学長であるSubra Sureshは語った。「この新しい契約は、飛行機に搭乗する誰もが利益となるCMUの独特な知的な強みを活用しながら、さらにこの関係をさらに拡張するものです。」
出典:CMUとボーイング社