地震波スーパーコンピューティングが5ペタフロップスに急上昇
Tiffany Trader

石油・ガスのスーパーコンピュータとなると、掛け金はもう1段階上がってくる。これまでに、エネルギーの巨人であるBP、TotalそしてEniがメガ・スーパーコンピューティング・センターを展開しており、そして今、ノルウェーの石油・ガス企業であるPetroleum Geo-Services (PGS)が、5ペタフロップスのCray XC40スーパーコンピュータとCray Sonexion 2000ストレージシステムで他社に勝ることとなった。
オスロに本社があり、ロンドン、シンガポールそしてヒューストンにサイトがあるPGSは、高解像の地震マップと地球の地下の3次元(3D)モデルを作成するためにスーパーコンピューティングを利用している。今週早々に、クレイのBarry Boldingがこの種では最大規模の公表システムとなる大勝利について詳細を述べた。
石油・ガス探査分野における主要企業であるPGSは、地殻下部構造への反射波のデータをセンサーで収集することで地球を探索している。海洋探査が専門である。かれらの最大の成果のひとつが、メキシコ湾の深海で実施された精巧な地震波イメージング調査である、PGSのトリトン調査だ。
他のエネルギー企業と同様に計算とストレージ製品の長期間の消費者であるPGSは、彼らが収集しているデータセットにおける大きな増大を見ており、高解像度でデータを処理するためにはさらに性能の高いシミュレーション環境が必然的に必要なのだ。
「Crayシステムの素晴らしい演算効率と信頼性にアクセスすることで、SWIMやCWIのような私達の複雑なGeoStreamerイメージング技術の可能性を最大限引き出すことができるのです。」とPGSのイメージング&エンジニアリング部門のエクゼクティブ副社長であるGuillaume Camboisは述べている。
Boldingが説明したように、PGSのニーズに対してクレイは、高性能スーパーコンピュータと高性能ストレージの適切な組み合わせを提供することができた。XC40スーパーコンピュータは、地震波処理で使われる計算集約型の大規模物理数学の問題の種類に適合している。高性能インターコネクト、高性能なスケーラビリティ、スケーラブルなソフトウェア、コンパイラそしてライブラリは、彼らが問題をスケールし、必要とする高解像度なイメージングを得るための単なる基盤であると、彼は付け加えている。
大規模なデータセットをボトルネック無しに入出力できることが高速ストレージには求められている。Bolingによれば、クレイのSonexion Lustreストレージシステムは、この顧客の要求である高速並列ファイルシステムに適合している。
Cray XC40はNVIDIA GPU TeslaアクセラレータとIntel Xeon Phiコプロセッサの両方を性能をブースとさせるために活用することができるが、PGSはこのシステムに彼らの運用ワークフローに沿うIntel Haswellプロセッサを搭載した標準のx86計算環境を選択した。記録によると、BPとTotalもまたCPUのみのマシンを運用しているが、イタリアのエネルギー企業であるEniはワークロードを、1,500個のデュアルCPUと3,000台のNVIDIA GPUで構成されたハイブリッドのCPU-GPUクラスタアーキテクチャ上で実行している。
クレイは自分の多くの商業顧客について話す自由はないが、エネルギーは重要な分野であり、そのためクレイはこれらの顧客専用のセールスとプリ・セールスのスタッフを抱えていることをBoldingは明らかにしている。
Boldingはまたエネルギー分野において解析がどのくらいもっと重要になってきているかについて話をした。石油・ガス分野において下流での解析のために解析計算の機会があるが、さらにもっと興味深いのは、エネルギー探査の上流部分における解析手法の潜在的役割で、クレイと顧客の両方にとっての新しい時代であり、その実験が丁度始まったところである、と彼は語っている。
終わりに、Boldingはこの契約を、特にデータセットが大規模になっているエネルギー分野における真の成長の例であると見ていると語っている。
この新システムは2015年に展開するように準備されている。販売価格はどこからも公表されていないが、他のXC40の契約では9百万ドルから1億2千8百万ドルまでの値付けがされてり、クレイと国家核安全保障局が交わした「Trinity」の契約は1億7千4百万ドル以上の価値がある。